スピリット航空の破綻が象徴する「時代の終焉」
フライト追跡アプリFlightyの航空・旅行ジャーナリストであるケイティ・ナストロはフォーブスに対し、「格安運賃が消滅しつつあるのかといえば、それは比較の問題だ」と語る。たとえば例年旅費が安くなる1月であれば、LCCを利用することで「今でもニューヨークからオーランドまで実質100ドル(約1万6000円)で往復できる」という。「往復39ドルや49ドルで飛べた時代は終わったのかといえば、スピリット航空の破綻によってその時代が終わったことは誰もがすでにわかっていたはずだ。それこそがスピリット航空の代名詞だったからだ」。
安値を求める旅行者にとってさらに厄介なのは、すべての費用を含めると、LCCが最も安い選択肢になるとは限らなくなっている点だ。カンは「本当の問題は利益率にある。超格安航空会社は時として『超低収益』の航空会社に陥ってしまうからだ」と語る。「航空会社は基本運賃だけでは競争力を維持できない。だからこそ、付帯手数料や上位クラスの座席設定を通じて収益を増やす道を模索しているのだ」。つまり旅行者は、基本運賃だけでなく搭乗にかかる総費用を計算する必要がある。
ナストロは「感謝祭の時期に直前予約で乗ろうとすれば、10回中8回は今でもLCCが最安になり、現時点ではフロンティア航空が数百ドルほど安くなるだろう。だが繰り返すように、それはあくまで座席のみの価格であり、各種の追加料金を除いた場合の話だ」と話す。
旅行予約サービスを手がけるHopper Technology Solutionsの主任エコノミスト、ヘイリー・バーグは今年8月、フォーブスに対して「航空運賃を押し下げる2大要因は、競争とLCCの存在だ」と語っていた。「パンデミック前は、LCCが新規路線に参入すると、その路線の平均運賃は約20%下落し、最終的には参入前より『10%ほど安い水準』に落ち着いていた」。
しかし米国では、今年初めに6社あったLCCが現在では実質4社に減っている。今年サンカントリー航空を買収したアレジアント航空は、サンカントリーのブランドを段階的に廃止する計画だ。さらに5月初旬にスピリット航空が経営破綻したことで、米国のLCCはフロンティア航空、アレジアント航空、そして小規模な非上場企業であるアベロ航空とブリーズ・エアウェイズの4社のみとなった。


