シンガポールを拠点とするAI特化型クラウド企業「Megaspeed」
シンガポールを拠点とするAI特化型クラウド企業のMegaspeedは、中国の7Roadが2023年にシンガポールの海外事業を分社化した際に設立された。同社はアジア太平洋地域におけるエヌビディアの提携先であり、エヌビディア製半導体の中国への流入ルートを調べる米当局の調査対象となっている。2025年10月には、共和党のトム・コットン上院議員が米商務省に対し、同社が中国の顧客に遠隔でサービスを提供するためにエヌビディアの半導体をマレーシアやインドネシアに持ち込んでいるとして調査を要請した。
同紙によると、アリス・フアンは自身をMegaspeedのCEOと称していたが、同社は設立から8カ月後に書類上で彼女をマネージング・ディレクターの職から外している。現在の関与の度合いは不明だが、同社の事業に詳しい関係者は、米当局の調査が始まって以降、彼女の活動は減っていると語った。
米政府は2024年、マレーシアのデータセンター建設現場でエヌビディア製の機器が箱に入ったまま置かれ、別の場所へ転送される可能性があることを商務省の職員が突き止めて以来、Megaspeedに対する調査を進めてきた。同紙によると、今年は司法省がこの調査を引き継いでいる。米国はエヌビディアの最先端半導体を中国へ輸出することを禁じているが、国境を越えて密輸する業者がいるほか、東南アジアにデータセンターを建設するために大量の半導体を購入し、そこを通じて中国企業にサービスを提供する事業者も存在する。
バイデン前政権は2022年にこうした抜け道を防ぐための規制を導入したが、トランプ政権はこれを撤廃。Megaspeedも半導体を購入して中国企業に計算能力を貸し出している企業の1つだ。さらに米国の調査官らは、一部のエヌビディア製半導体が実際にMegaspeedを通じて中国国内に流入しているとみている。
フアンは、トランプ政権と距離が近いテクノロジー分野のアドバイザーの1人
ジェンスン・フアンは、トランプ政権と距離が近いテクノロジー分野のアドバイザーの1人だ。2025年4月、トランプがエヌビディア製半導体の対中販売禁止を検討した際、ジェンスン・フアンはトランプと面会し、中国への販売がいかに重要かを説明した。この会談について報告を受けた関係者によると、トランプは彼に深く感銘を受けたという。
ジェンスン・フアンが1993年にエヌビディアを共同創業して以来、当初はビデオゲーム向けに設計された同社の画像処理半導体(GPU)は、テック各社が開発を競うAIモデルを稼働させるための基盤ハードウェアとなった。AIブームに伴って同社の売上高も急拡大しており、2023年度にはわずか270億ドル(約4兆3200億円)だった売上高は、2026年度には2159億ドル(約34兆5000億円)に達している。同紙によると、トランプとの面会後、エヌビディアはトランプの宴会場建設基金に少なくとも2000万ドル(約32億円)を寄付したほか、米国内での製造に5000億ドル(約80兆円)を投資すると約束した。その後、トランプは2025年12月、売上高の一部を納めることと引き換えに、エヌビディアが旧世代の半導体を中国に販売することを許可した。


