リーダーとして、あなたはチームや部門、会社全体の状況を常に把握していると信じているはずだ。定期的な1対1の面談を行い、建設的なフィードバックを与え、チームの学習と成長を支援している。自分のチームや周囲で何が起きているかに常に目を配ってきた。しかしある日突然、重大な何かを見落としていたことに気づく。
チームの誰かが、密かにあなたに対するネガティブキャンペーンを展開し、あなたが仕事を適切にこなしておらず退陣すべきだと周囲を説得していたのだ。まさに青天の霹靂である。不意を突かれ、憤りを感じながら、なぜ兆候を見抜けなかったのかと思い悩む。どこに助けを求め、次に何をすべきかわからなくなってしまうだろう。
やるべき仕事が山積みで時間に追われているとしても、この問題には緊急性を持って対処する必要がある。自分が仕事を進めるうえで能力不足であるかのような噂を放置したくはないはずだ。混乱を覚えるかもしれないが、感情的な反応は事態を悪化させるおそれがある。守るべき自身の評判もあるのだ。
反応を示す前に一歩引き、何が実際に起きているのかを把握した上で、事態が一人歩きする前に対処計画を立てよう。
状況を評価する
まず、その動きが真に懸念すべきものかどうかを見極める。人は物事を混同したり過剰に誇張したりしがちだ。該当の部下は単に不満をぶちまけていただけで、本気で周囲を味方につけようとしていたわけではないかもしれない。あるいは、最近の出来事に対する一時的な苛立ちの表れに過ぎない可能性もある。状況が深刻化する前に即座の行動を必要とするものかどうかを見極めることが重要だ。自分のリーダーシップを疑わせる余地をこれ以上与えてはならない。
次に、状況と該当人物をより正確に把握するために、いくつかの質問を自分に投げかけてみよう。
- 過去の評価で、同様のフィードバックが出たことはあったか。過去のパフォーマンス評価や360度評価を見返し、共通の傾向を探る。自身のリーダーシップに関して他に懸念事項が出されたことはないか。もしないのであれば、その部下は昇進の見送りや新規プロジェクトへの起用見送りに対して不満を抱いているだけかもしれない。
- 信頼できる情報源から発覚したのか。この状況をどのように耳にしたか。直接的な情報を持つ人物からの話だろうか。
- これは突発的な事例か、それとも過去にも同様の行動をとっていたか。その従業員が他のチームや人物と働いていた過去の経緯を掘り下げる。欠点探しをするのではなく、繰り返されている行動パターンを探すのが目的だ。
- 他に考慮すべき点はあるか。心を落ち着かせ、これまでのやり取りを振り返ってみよう。曖昧に思えるかもしれないが、静かに思考を巡らせて状況を書き出してみることで、感情的になっているときには思いもつかなかった疑問やアイデアが浮かんでくることがある。
安易な対応を避ける
その従業員と今すぐ直接話し合いたいと思うかもしれないが、慎重な対応をとることが不可欠だ。激昂して素早く手厳しい宣言を出すのは簡単だが、そのような対応は一時しのぎにしかならない。批判者の主張を聞いた周囲の人々の心を取り戻すことはできず、むしろ批判者の主張に同調する気持ちを強めさせてしまう恐れがある。代わりに、一部の人が抱いているかもしれない根深い懸念に対処する、別のアプローチを考える必要がある。
注力すべき分野は2つある。第1に、過去および現在のやり取りにおいて、隙や問題がないか徹底的に確認すること。第2に、戦略的なマネージング・アップ(上層部への働きかけ)を行い、状況を共有しておくべきステークホルダーを検討することだ。
隙のない態勢を整える
チームの誰かがネガティブキャンペーンで自分を陥れようとしているとき、「なぜ自分がこんな目に」と塞ぎ込んだり怒りや不満を感じたりしがちだ。しかし、主体的に行動しなければならない。批判者が指摘しそうな判断や発言が、過去のやり取りになかっただろうか。例えば、ここ数カ月間の判断ミスを見直してみよう。なぜそれらの決定がなされたのか、あるいはなされなかったのか。自分のリーダーシップによる決定が誤解された可能性のある領域はないか、素直に責任を認めるべき点はないか検討する。
過去に起きたことをやり直し、埋め合わせることはできない。しかし、どこで道を踏み外したかを振り返り、それらの状況に対する自身の立場を説明できるよう準備することは可能だ。
行き当たりばったりの行動をとってはならない。前進する前に計画を立て、過去を振り返ろう。これは何もしないで座っているという意味ではない。誰かが自分に対する対立運動を起こすとき、それは感情に起因していることが多いからこそ、計算高く動く必要がある。感情に対して感情で戦うことはできない。論拠や証拠をもって前進すべきだ。計画とは、状況に関するデータをすべて収集し、人事部や自身の上司と複数回話し合いを行うことを意味し、これにより関係者に状況を共有し続けることができる。
上層部との対話を計画する
対人トラブルのたびに警鐘を鳴らして問題を拡大させたくはないだろうが、すべてを自分一人で抱え込むのも良くない。「自分一人で処理できる」「一時的な小問題に過ぎない」と思っていても、雪だるま式に膨れ上がり、深刻な問題へと発展することがある。取り得る選択肢は多い。単なる感情の発露や不満かどうか様子を見たい場合であっても、警鐘を鳴らすべき局面を把握しておく必要がある。以下の質問を自分に投げかけてみよう。
他の人々もその批判者の意見を受け入れているか。他の人からも同様の懸念を聞いているか。
チームメンバーからの不満の声を連日のように耳にしているか。
主張されている内容は、自身のキャリアに悪影響を及ぼす可能性があるか。
その人物が問題をさらに拡大させると予想されるか。
ここには深刻なものになり得る告発や主張が含まれているか。
これらの質問のいずれかに「はい」と答える場合、上司や取締役会、最高人事責任者(CPO)、その他のステークホルダーに注意を促す必要がある。単に状況を報告するだけでなく、どのように提示し、解決に向けてどのような議論を行いたいかという確実な計画を用意しよう。そうすることで上層部からの支援を得ることができ、一人で抱え込んで問題をさらに大きくする事態を防ぐことができる。
有害な空気をくすぶらせない
告発に根拠がないと感じられる場合、運動が自然消滅するのを待つのが手軽な解決策に見えるかもしれない。しかし時間の経過とともに、その運動が勢いを増す危険性もある。放置された否定的な感情は広がり、他の従業員の目標達成を妨げ、職場環境を有害なものに変えてしまう。人は他者に追随しやすい。「その通りだ、あいつを追い出そう」といった具合に流されてしまうのだ。
このような状況下では、人々は本来の優先事項に取り組む代わりに、状況を把握しようとしたり、情報を集めたり、単なる噂話に時間を費やすようになり、業務の進行が遅れる。本来であれば成果を上げ、創造性を発揮するために使えるはずの精神的な余力が奪われてしまう。最終的に達成すべきは、会社の目標である。
また、周囲の雑音をいかに管理するかについて意図的であることも重要だ。不快だからといって批判を封殺するのは正しいやり方ではない。誰もが自分の意見を率直に言える環境は維持したいからだ。
他に管理すべき課題が山積みだとしても、有害な空気と雑音は即座に摘み取る必要がある。チームに対して前向きなリーダーシップ行動の手本を示したり、チームリーダーにメンバーが肯定的な姿勢を保ち目標に集中するよう促してもらったりといった、シンプルなステップで実行できる。ただし、これを自分一人で達成することはできないと認識することも重要だ。チームの温度感をコントロールし、有害な議論や行動を抑え込むために、シニアリーダーの協力を仰ぐ必要がある。
自分を陥れようとするネガティブキャンペーンに突如直面すると、強い不満を感じ、途方に暮れてしまうものだ。取るべき最も重要な行動は、準備を怠らず、焦点を絞り、感情的な議論に巻き込まれずに超然と対応し続けることである。



