製造業は、自動化とデジタル化にいち早く着手してきた分野であり、多くの企業が何十年にもわたり生産ラインでロボットを活用してきた。しかし、事業のその他の領域における革新は遅れており、最近の調査では、事業全体で人工知能(AI)を広く導入している製造業者はわずか2%にとどまることが判明している。
ニューヨークを拠点とするスタートアップ、フォージポイント(Forgepoint)の共同創業者であるジャック・ストラウスとアレックス・パレトは、これを機会損失だと考えている。同社は本日、980万ドル(約15億5000万円)のシード資金を調達したと発表しており、エージェンティックAI(自律型AI)を活用して製造業のバックオフィスの効率化を推進することに大きな可能性を見出している。
「あらゆる製造業には2つの側面がある。実際に製品が製造される生産現場と、営業から回収までのサイクルを通じて案件の販売、見積もり、調達、請求、そして全体的な管理が行われるオフィスだ」と、フォージポイントの最高技術責任者(CTO)を務めるストラウスは語る。「過去40年間で生産現場の自動化は目覚ましい進歩を遂げたが、オフィスに足を踏み入れると、大勢のチームが1日の大半を昔と変わらないやり方で業務に費やしているのが目に入る」
フォージポイントの目標は、このギャップを埋めることだ。自社のテクノロジーにより、製造業者が時間と費用を削減できるだけでなく、顧客サービスの向上にも貢献できると主張する。米国内外の製造業者が、エネルギーコストの上昇、金利高、地政学的緊張によるサプライチェーンの分断など、増大する圧力に直面するなか、その重要性は一段と高まっている。
この取り組みにおける同社の第1弾が「フランク(Frank)」だ。インサイドセールス担当者として機能するAIエージェントであり、製造業者が問い合わせや販売リードを受け取ってから、案件獲得に向けて正確な見積もりを提示するまでの時間を大幅に短縮するのを支援する。「フランクの役割は、案件の受注または失注が決まるまで、インサイドセールスチームによる新規案件の管理を支援することだ」とストラウスは説明する。
これには、顧客の要件と自社の能力および稼働状況の照合、案件の納品に必要な要件の評価、ならびに材料費と人件費の算定といったプロセスの大部分を自動化することが含まれる。極端に不正確な見積もりが顧客に提示されるのを防ぐため、人間のエンジニアがフランクの作業をチェックするものの、このエージェントははるかに迅速に作業を実行できるとパレトは説明する。「多くの引き継ぎポイントと複数の人間が関与し、数日から数週間かかっていた見積もり作成プロセスが、わずか数時間に圧縮される」と彼は付け加える。
今年設立されたばかりの同社は、すでに年間経常収益(ARR)が100万ドル(約1億5800万円)を超えており、平均的な顧客が見積もり作成時間を55%以上削減できたとしている。これまでに処理した見積依頼の総額は40億ドル(約6320億円)以上に達する。
これは極めて重要だ。調査によれば、回答スピードが製造業者の案件受注率を決定づけることが示されているためだ。市場調査グループのガートナーが昨年発表した調査結果によると、製造業者の顧客の50%近くが24時間以内の回答をベンダーに期待しているという。
「フォージポイントを導入する前は、見積もりを手作業で作成しており、追いつくのが精一杯だった」と、早期導入企業の1社であるSIPマニュファクチャリング(SIP Manufacturing)の創業者兼最高収益責任者(CRO)、チャス・アディは話す。案件の価格設定を行うにあたり、製造業者は利益率の算定や稼働状況の確認、見積もり作成に入る前の段階で、重要データが欠落している可能性のある仕様を含む複雑な要求を評価しなければならないことが多いと彼は指摘する。「今ではフランクが下書きを作成し、私は2分で承認できる」とアディは付け加える。「データ入力に費やす時間が減り、顧客対応により多くの時間を割けるようになった」
このような顧客の声が投資家の強い関心を集めている。今回のシードラウンドはプライマリー・ベンチャー・パートナーズ(Primary Venture Partners)とa16z speedrunが主導し、オープンAI(OpenAI)、ブレックス(Brex)、バーセル(Vercel)、ソーファイ(SoFi)のエンジェル投資家も参加した。「製造業者の成長能力は、そのチームがどれだけの案件を見積もり、計画し、管理できるかに左右される」と、プライマリー・ベンチャー・パートナーズのプリンシパル、ザック・フレデリックスは語る。「フォージポイントは見積もりを皮切りに、こうしたチームにより多くの処理能力をもたらしている」
新たに調達した資金により、フォージポイントは製品開発を支援するとともに、営業チームを立ち上げてフランクをより多くの製造業者に売り込んでいく。同社は既存技術の開発を継続する一方で、製造業者のバックオフィス業務を支援する他のエージェントの投入も検討している。



