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2026.10.29 09:57

データセンター競争の最前線——AIインフラを支える技術

Adobe Stock

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AIモデルに東京への3日間の旅行計画を尋ねれば、数秒で旅程が表示される。一見簡単そうに見えるそのやり取りの中心にあるのがデータセンターであり、そこでは半導体チップ、電力、冷却システム、ネットワークが融合してコンピューティングパワーが生み出されている。世界規模で見ると、これらの施設は、エヌビディア(Nvidia)のジェンスン・フアンCEOが「人類史上最大のインフラ拡張」と呼ぶ取り組みの骨格を成している。

米国は現在、このインフラ拡張を牽引している。全米で1500件以上のデータセンターが新たに追加計画中または開発中であり、世界大手のテクノロジー企業は今年、合計で約7250億ドル(約115兆円)の設備投資を行うと予想されている。その多くは米国内のAIインフラやデータセンターに向けられている。

また、施設自体も飛躍的に大型化している。10年前、大型データセンターに必要な電力は約30メガワットだった。今日では、AIキャンパスが必要とする電力は200メガワットに達するのが一般的であり、ギガワット規模に達するものもある。こうした急成長は物理的な限界に直面している。土地、熟練労働者、電気設備、電力網への接続、電力、冷却システムのすべてが確保困難になりつつあるのだ。

これらの制約の中で、電力がおそらく最も重要だろう。現在、米国はデータセンター競争を牽引しているかもしれないが、その優位性を維持できるかどうかは、次なるコンピューティングの波を支えるのに十分なスピードで物理的・エネルギー的インフラを拡張できるかにかかっている。さらに、電力、水、土地利用への懸念から新規データセンター開発に対する規制や一時停止(モラトリアム)が導入され、このインフラ拡張は地域社会や政策立案者からの反発にも直面している。

筆者は、これらの要因が重なり合うことでAIインフラ競争の核心的な摩擦が生じていると考えている。スケールアップへの圧力は、建設や発電から冷却、運用、保守、所有に至るまで、物理的なデータセンターの構成要素全体におけるイノベーションの機会を生み出している。ベンチャーキャピタルと現実世界の建設・不動産領域(built world)の接点で仕事をしてきた筆者は、この分野のどこでイノベーションが起き、何をもたらしているのかを詳しく理解したいと考えた。本稿では、データセンターのインフラを急速かつより責任ある形で拡張することを可能にするテクノロジーについて、筆者が得た知見を掘り下げていく。

データセンターの開発と建設

データセンターブームは建設業界そのものを変え始めている。スタティスタ(Statista)によると、「米国における民間部門のデータセンター建設支出は、2014年の18億ドル(約2840億円)から、2025年には411億ドル(約6兆4900億円)に達した」という。

しかし、需要の伸びは業界の施工能力を上回っている。電気技師をはじめとする熟練技術者は特に不足している。だが、この人手不足はイノベーションの触媒ともなっており、現場での単純反復作業や危険な作業を自動化しつつ、熟練労働者の発掘・訓練・配置を行う新しい手法をもたらしている。例えば、スキリット(Skillit)はAIを活用して施工業者と検証済みの建設作業員をマッチングし、ラギッド・ロボティクス(Rugged Robotics)のようなロボットシステムはデジタルの設計図面を読み取ってデータホールの床に自動で墨出しを行う。さらに、鉄筋の結束や高所の穴あけといった負担の大きい肉体労働を行うマシンもテストされている。

多くの投資家は、自動化がより重度の作業にも広がると賭けている。自律型機器に注力する建設ロボティクス企業は近年多額の資金を集めており、2026年2月時点で10社のロボティクス・半導体関連スタートアップがユニコーン企業の仲間入りを果たした。しかし、現在見られつつある新たなモデルは、労働者の代替というよりも、希少な熟練労働者をより効果的に配置できるようにすることに主眼が置かれている。一方が他方に取って代わるのではなく、ロボットと人間が協働する世界が広がっていくだろう。

テクノロジーは、作業員が現場に立ち入る前の段階でも導入されている。施工業者は拡張現実(AR)やバーチャルリアリティ(VR)を試用し、訓練期間の短縮や現場知識の迅速かつ安全な新人技能者への継承を図っている。同時に、現場外で行われる作業も増えている。管理された環境で事前製造し、すぐに設置可能なモジュールとして現場に搬入される電気・機械・構造システムが増加しているのを目にしている。これは、再現性の高いデータセンターの設計に特に適したアプローチだと言える。

これらのテクノロジーが相まって、建設の迅速化に寄与している。しかし、建設の効率が上がっても、さらに厳しい物理的制約である電力に行き当たる。新たなデータセンターはいずれも依然として莫大な電気を必要としており、エネルギーを確保できるかどうかが、AIインフラをどこで、どれだけ早く拡張できるかの中心課題となっている。

電力、冷却、保守

どれだけ早く建設できても、マシンを稼働させるのに十分な電力がなければ意味がない。米国の一部地域では、新しいデータセンターを電力網に接続するまでに10年以上かかる場合もある。その制約がエネルギーのイノベーションを後押ししている。デベロッパーは、ビハインド・ザ・メーター(自家消費型)発電や蓄電池、新たな安定電源の活用を模索している。例えば、フォーム・エナジー(Form Energy)は最近、最大100時間の電力供給が可能な鉄・空気電池の事業拡大に向け7億5000万ドル(約1180億円)を調達した。また、24時間365日供給可能なクリーン電気の候補として、次世代地熱発電や小型モジュール炉(SMR)への関心が高まっている。国際エネルギー機関(IEA)の試算によると、2030年までに世界中のデータセンターで20〜25ギガワット規模の蓄電池が導入される可能性がある。

しかし、電力が多くなれば発熱量も増える。AIラックの高密度化に伴い、従来の空冷方式は、チップ直接液冷、リアドア型熱交換器、水を循環させるクローズド・ループ型システムへと取って代わられつつある。例えばリレイテッド・デジタル(Related Digital)は、大量の水消費に関する地域社会の懸念を和らげるため、「大量の水を使用する蒸発冷却」(要ダウンロード)の使用を控えることに同意した。

施設が開業した後もイノベーションは続く。サロ・ラボ(Thalo Labs)のような企業は、センサーとAIを組み合わせてHVAC(空調)機器を監視し、高額なコストがかかる故障に至る前に問題を特定することで、事後的な保守から予知保全へとシフトさせている。

未来のデータセンター

未来のデータセンターは、今日広大な敷地に広がる大型キャンパスとは大きく異なった姿をしているかもしれない。コンピューティングはよりモジュール化し、分散化・自給自足化して、豊富なエネルギー資源の近くや、さらには水中、軌道上へと移動していく可能性がある。次のインフラ競争は単なる規模の勝負にとどまらず、コンピューティングがどこで、どのように行われるかを再定義するものになると筆者は信じている。

※本記事で提供される情報は、投資、税務、または財務に関するアドバイスではありません。個別の状況については、有資格の専門家にご相談ください。

(forbes.com 原文)

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