北米

2026.10.29 09:30

FRBが政策金利の「据え置き」を決定、インフレ高止まりも雇用減速を考慮

Andrew Harnik/Getty Images

米中間選挙を前に開かれる最後の金利決定

今回の会合は、米中間選挙を前に開かれる最後の金利決定となった。この中間選挙では、生活費の高騰が最大の争点となっている。

advertisement

ドナルド・トランプ大統領は、第2期政権の残り2年間も議会の主導権を維持するためには、中間選挙での勝利が欠かせない。トランプは、新たに就任したケビン・ウォーシュFRB議長のもとで実施された9月の利上げを批判しており、ここ数カ月間は政策金利を1%以下に引き下げるよう繰り返し要求してきた。

金利が下がれば住宅ローンや消費者ローンの金利も低下して借り入れコストが軽くなるため、金利上昇や根強いインフレによって議会での過半数維持が危ぶまれる共和党にとっては追い風となり得る。しかしアナリストらは、政策金利を1%まで急激に引き下げれば経済の不安定化を招くと警告している。

ウォーシュは10月28日の記者会見で、9月の利上げの影響について次のように語った。「金融環境は全体として以前より引き締まっているが、私はそれを『引き締め的』と呼ぶつもりはないし、呼ぶこともできない。それでも大局的に見れば、こうした動きは、経済成長と物価の安定がより長く、より持続的に続く局面の実現に向かうものだ」。

advertisement

トランプのFRBに対する威嚇

FRBは独立機関であり、政治的な配慮を排して金融政策を決定するのが原則だ。しかしトランプはFRBに対する威嚇や批判を繰り返しており、9月の利上げ後にはFRBを「非常に敵対的」で「極めて政治的だ」と非難した。

FOMCの投票メンバー12人全員が支持したこの利上げについて、トランプは自分なら反対票を投じていたと述べる一方、Time誌に対しては「ケビン・ウォーシュを責めるつもりはない」とも語っている。トランプは自身の望む水準まで利下げを行わなかったジェローム・パウエル前議長と公然と対立してきた経緯があり、9月の利上げ判断は、ウォーシュがトランプの圧力に屈するかどうかを占う重要な試金石として多くの関係者から注目されていた。

夏場の雇用回復は当初より弱く、10月雇用統計が焦点に

FRBはここ数年、「雇用の最大化」と「物価の安定」という2つの使命のもと、雇用市場の健全性に配慮しつつインフレの抑制に取り組んできた。当初発表された8月の雇用統計では、雇用者数が3月以来最大の伸びとなる16万2000人増を記録し、失業率も4.1%で横ばいとなっていた。労働市場が堅調であれば失業率の急上昇を懸念することなくインフレ抑制に動けるため、この発表を受けて市場では利上げ観測が一気に強まった。

しかし、10月2日に9月の雇用統計が発表されると状況は一変した。米労働統計局は9月の雇用者数がわずか2万9000人増にとどまったと発表したほか、8月の伸びを13万3000人増へと下方修正し、7月分については2万1000人増から1万人減へと改定した。夏場の雇用回復が当初見込まれていたよりも弱かったことが判明したことで、雇用の最大化と物価の安定を目指すFRBは難しいかじ取りを迫られた。

米労働統計局は11月6日に10月の雇用統計を発表する予定だ。9月の伸び悩みや夏場のデータの下方修正を経た今回の統計は、雇用市場が安定しつつあるのか、また、それがさらなる利上げに耐えられるのかをFRBが判断するうえで極めて重要な指標となる。

予測市場のカルシでは、9月のFOMCを前に、トランプが年末までにウォーシュを「公の場で侮辱する」確率が44%と予測され、1カ月前の2倍以上に跳ね上がっていた。取引量は少ないものの、この確率は9月の利上げ決定から数時間後に53%まで上昇した。その後は低下に転じており、28日午後の政策金利の発表を控えた時点では30%で推移していた。

(forbes.com原文)

翻訳=江津拓哉

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事