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2026.10.29 12:00

米国が直面する最大の政治危機──マスク、データセンターの騒音問題で「周辺住宅418戸の買い取り」を提案

Andrew Harnik/Getty Images

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住民は「マスクの遊び場」化を警戒

スペースXAIの施設から約3.2キロメートル離れた場所に住むピアノ教師のローズは、ガーディアン紙に対して「ある日突然、あそこに施設ができた」と語った。「そして今、彼らは買い取りを地区全体に広げようとしているように感じる。要するに、ここはイーロン・マスクの小さな遊び場になるのだろう。まさに『イーロンビル(イーロンの街)』だ」

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マスクは以前、地元のデータセンター建設をみずから監督するためにメンフィス地域に置いたキャンピングカーに週に最大4泊していることを明かしていた。

住宅街ほぼ全戸で約118億円、マスク資産の0.008%

コロニアル・ヒルズ地区の住宅418戸(平均価格約2880万円)をすべて買い取る場合、それに必要な費用は合計約7524万ドル(約120億円)となる。これはスペースXAIの親会社であるスペースXが報告した2026年上半期の総売上高の1%未満にすぎず、マスク個人の資産額と比べればわずか0.008%にとどまる。

スペースXAIは昨夏、サウスヘイブンにあるデューク・エナジーの発電所跡地を購入した。それ以来、同社の大規模言語モデル「Grok」の学習や、マスクのAIスーパーコンピューター「Colossus」の稼働を担うデータセンターに電力を供給するため、69基の仮設ガスタービンを設置している。しかし、これらのタービンが連邦大気浄化法で義務づけられた許可を得ないまま稼働していたことが発覚した。

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NAACPは今年に入り、有害物質の排出をめぐって連邦裁判所に提訴し、サウスヘイブンのように黒人や労働者階級が多く暮らす地域が、巨大テック企業のAI開発に伴う健康被害を押しつけられていると主張した。発電所の近くに4世代にわたって2エーカー(約8100平方メートル)の土地を所有してきたクリスタル・ポーク(52)は、「有色人種が土地を持つことを許される前」からこの土地を守ってきたと語る。しかし、彼女の一家は騒音によってこの土地を追われ、現在はほぼ空き家の状態になっているという。

「この国が直面する最大の政治危機」

現代のデジタルインフラやAIの拡大に不可欠なデータセンターは、一般の米国民のあいだで最も意見が対立する問題の1つとなっている。巨大テック企業は全米各地で広大な空き地を買い占め、膨大な電力と水を消費する巨大施設を建設している。

調査団体のData Center Watchによると、2026年上半期には地元住民の反対により、120件以上のデータセンター開発計画が中止または延期に追い込まれた。総額1500億ドル(約24兆円)を超え、1万エーカー以上の敷地を必要とするこれらの計画は、光熱費の高騰や水資源の枯渇、地域社会への還元の少なさを懸念する住民からの強い反対運動に直面している。

今年5月に発表されたギャラップの世論調査では、自身が暮らす地域にAIデータセンターを建設することに対する米国民の反発は根強く、近くに建設されるなら原子力発電所のほうがましだと考える人のほうが多いことが明らかになった。あるエネルギー専門家はフォーブスに対し、AIに対する反発は「この国が直面する最大の政治危機」になり得ると語っている。

今年に入りスペースXを上場させて世界初のトリリオネアとなったマスクの推定資産額は、28日時点で9424億ドル(約150兆8000億円)となっている。

(forbes.com原文)

翻訳=江津拓哉

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