高級ブランド関連のクレジットカード利用額が減少
米金融大手シティグループの報告書によると、9月の米国の高級ブランド関連のクレジットカード利用額は、前年同月比6%減少した。7月と8月もそれぞれ前年同月比で4%減少していた。2026年に入り初めて四半期単位で減少したことになる。第1四半期は5%増、第2四半期は3%増だった。
「相関関係は因果関係ではない」――これは誰もが耳にしたことのある言葉だろう。同報告書は、支出の減少はイラン情勢やウクライナ侵攻など、地政学的な不確実性が続く時期と重なっていると指摘している。燃料供給の不安定性や関税も、インフレを加速させる要因となっている。
こうした状況が好転する兆しは見られない。米原油指標のウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)と国際指標の北海ブレント原油の先物価格は、それぞれ1バレル102.2ドルと116.2ドルとなっており、実際の取引価格はこれより高い可能性がある。米自動車協会(AAA)によると、ガソリン価格は前月から1ガロン(約4リットル)当たり20セント下落したものの、26日時点で同4.29ドルの水準にある。ディーゼル燃料(軽油)は同6ドルを大きく上回っており、1年前と比べて73%値上がりしている。これが中間選挙後に生活費をさらに押し上げる一因となるかもしれない。
経済を維持する上で、所得上位1割の層による消費が重要な要素となりつつある一方で、所得下位9割の層は生活費の上昇に直面し、減少した消費を補う余裕はない。とはいえ、所得上位1割の富裕層の消費が全て高級ブランド品に向けられているわけではない。むしろ、こうした層が高級品への支出を削り始めたということは、経済的な圧迫を感じているという指標なのだ。そもそも富裕層は人口の少数派であり、食べられる量にも、住める場所の数にも、運転できる車の台数にも限りがあるため、大多数の人々と同じ規模の消費をしているとは考えにくい。そうなると、富裕層がGDPの個人消費を補い続けることはできるのだろうか?
これは、ある四半期の数字に過ぎない。シティも「米国の消費者は近年と比べて緩やかな速度で支出を続けているが、全体の消費に失速の兆しはほとんど見られない」と指摘している。小売統計を毎月公表している米国勢調査局のデータでさえ、一般的な消費支出の指標には、価格に対するインフレの影響が考慮されていないことが多い。人々の支出が増えているのは、他に選択肢がほとんどないからに過ぎない。
これもまた、警戒すべき兆候の1つだ。当局者や専門家、そして一般市民はどれほどの警告の兆しを目の当たりにすれば、行動を起こすほど懸念を抱くようになるのだろうか?


