この戦略は、同社のアップルやグーグルなどとの差別化を読み解く上でも極めて重要だ。
アップルはデバイス間の統合やプライバシー保護、グーグルはGeminiによる情報理解や推論に強みを持つ。一方のアマゾンは家庭内のスマートデバイスを起点とした商品検索、購入、配送、そしてエンターテインメントまで自社事業のプラットフォームに直接結び付けられる。
Alexa+を通じてプライム会員の満足度を高め、ECやコンテンツ利用を拡大できれば、AIへの投資をエコシステム全体で回収する構図が見えてくる。
Alexa+は次世代のAIスマートホームを実現できるのか
アマゾンが、Alexa+の重要な用途のひとつとして位置付けるのがスマートホームだ。
ヴィスコンティ氏によれば、日本国内ではAlexaによって年間26億回のスマートホーム操作が行われ、1500万台以上のスマートホーム機器が接続されているという。
従来のAlexaは照明のオン・オフや温度調整など、指定された操作を実行するリモコンに近いサービスだった。
Alexa+では、例えば「部屋が暗くて暑い」と伝えるだけでコマンドの意味を理解し、部屋の状況や接続機器を判断したうえで照明や空調を調整できる。花粉や空気の汚れが気になると話しかければ、対応する空気清浄機の操作につなげることも想定している。
さらに、スマートホームのルーティンを音声で作成・変更できることも大きな進化だ。
「これまではアプリを開いて設定する必要がありました。Alexa+なら、朝起きる時に室内照明を徐々に明るくして音楽を流してほしいと話すだけでルーティンを作れます。技術に詳しい人だけでなく、誰もが使えるようにすることが重要です」(ヴィスコンティ氏)
丸山氏もまた、スマートホームがこれまで以上に誰でも簡単に、音声操作により使いこなせるようになる点に期待しているという。

では、AIが住人の生活習慣を学習し、必要な操作を自律的に判断するスマートホームにまで進化するのだろうか。
「Alexaが自らユーザーのニーズを発見するという方向性は興味深いものですが、現時点ではまだ実装していません。まずはユーザーが望むことを伝えていただき、それを確実に実現できるようにすることを重視しています」(ヴィスコンティ氏)


