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2026.10.30 17:15

新型メルセデスCLA試乗 AIと走る知床400キロの圧倒的静寂

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フレペの滝と岩尾別の森、そして旅の終わりに「天に続く道」へ

3日目の朝は、知床自然センターからフレペの滝まで、往復約2kmの遊歩道をガイドと歩いた。

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フレペの滝は、知床連山の地下水が、垂直に切り立った約100mの断崖の割れ目から流れ落ちる、川のない滝だ。その姿から、地元では「乙女の涙」とも呼ばれてきた。

案内してくれた三浦隆浩さんは、北海道知事が認定するアウトドアガイドで、知床五湖の登録引率者でもある。道すがら三浦さんは、このあたりがかつての開拓地だったことや、いま進行している森づくりについて説明してくれた。

遊歩道の終点の展望台から、オホーツク海に面した断崖を見る。断崖右側の黒く変色した部分から地下水が流れ出している。
遊歩道の終点の展望台から、オホーツク海に面した断崖を見る。断崖右側の黒く変色した部分から地下水が流れ出している。

知床は、北海道の北東の端からオホーツク海へ突き出した半島だ。2005年に世界自然遺産に登録された。流氷が海の生き物を育て、その海から川をさかのぼるサケやマスを、森のヒグマやシマフクロウが糧にする。海と陸の生態系のつながりが、この土地の価値を支えている。

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一方で、その自然は人の営みとも深く結びついてきた。

知床自然センター周辺の岩尾別の台地では1914年から入植が始まり、最後の入植者が離れたのは1973年だった。

その跡地に土地投機の手が伸びた1977年、斜里町は「しれとこで夢を買いませんか」と全国に呼びかけ、「しれとこ100平方メートル運動」を始めた。一口8000円の寄付で土地を買い取り、森を取り戻そうという取り組みだ。

その後、運動は「100平方メートル運動の森・トラスト」へと引き継がれ、100年から200年後に原生の森を取り戻す森づくりを続けている。

運動地の森づくりでは、オヒョウやハルニレなど約1万2000本の苗木を、エゾシカに食べられないよう防鹿柵の中に植えてきた。運動に加わった人は2026年9月末で7万5243人に達する。(筆者撮影)
運動地の森づくりでは、オヒョウやハルニレなど約1万2000本の苗木を、エゾシカに食べられないよう防鹿柵の中に植えてきた。運動に加わった人は2026年9月末で7万5243人に達する。(筆者撮影)

知床と、そこへ至る道東がどういう土地なのかは、整然と区切られた牧草地や、森に戻されつつある開拓地の跡に表れている。どれも、走りながら目を凝らしていなければ見過ごしてしまう風景だ。

旅の終わりに、新型CLAで斜里町の「天に続く道」を走った。国道244号と334号にまたがる約18kmの直線が、空に向かってどこまでも延びているように見える。

新型CLAの上質さを一言でいえば、エフォートレスだ。クルマのほうから運転する人に求めてくることが、ほとんどない。

ハイブリッドの滑らかな走り、EVの静粛性、声で操作できるMBUXバーチャルアシスタント、余計なものを削ぎ落とした室内。運転する人に届くノイズを、操作からも、音からも、目に入るものからも減らしていくようにつくられている。

夕暮れの「天に続く道」。日が傾くと道の先の空が淡く色づき、ライトを灯したクリアブルーのCLAの輪郭が、林の影のなかに浮かび上がる。
夕暮れの「天に続く道」。日が傾くと道の先の空が淡く色づき、ライトを灯したクリアブルーのCLAの輪郭が、林の影のなかに浮かび上がる。

メルセデス・ベンツが蓄積してきたクルマづくりのノウハウを惜しみなく注ぎ込んだ新型CLAは、かつて人が自分の足と船で何年もかけて向き合ってきたこの土地で、走る時間を豊かな時間に変えてくれた。すなわち、知床を見つめて考えるための充分な時間を与えてくれたし、かの地の魅力を存分に堪能する体験でもあった。

知床峠は10月23日から冬の通行規制に入った。春になったら、また訪れてみようと思っている。

CLA 220 シューティングブレーク(ハイブリッド)

全長4,725×全幅1,835×全高1,470mm、車両重量1,670kg。エンジンは最高出力140kW(190PS)、最大トルク300N・mで、前輪を駆動する。WLTCモード燃費は19.9km/L。車両本体価格は710万円。試乗車はAMGライン(59万8000円)とアドバンスド(57万8000円)の両パッケージ付き。

CLA 200 with EQ Technology(電気自動車)

 価格は668万円で、発表時点では国のCEV補助金98万円の対象。後ろの車軸に置いた永久磁石同期モーター1基で後輪を駆動し、最高出力165kW(224PS)、最大トルク335N・m。ドイツのラシュタット工場で、100%グリーン電力を使ってつくられる。試乗車はAMGラインとアドバンスドの両パッケージ付き。

文=青山 鼓 写真= 安井 宏充

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