野付半島から知床峠へ
2日目は、野付半島に寄った。全長約26kmと日本最大級の砂嘴(さし)を進むと、立ち枯れたトドマツで知られるトドワラへ、水の上に木道が延びている。かつては白い骨のような枯れ木が一面に立ち並び、「この世の終わり」とも例えられた場所だ。昔から、その荒涼とした景色に一度身を置いてみたかった。
現地のガイドが語る野付半島は、かつて美しい花が咲き乱れる自然の豊かな場所だったという。江戸時代の中ごろまではトドマツやカシワの原生林があったが、地盤が沈んで海水が入り込んだために立ち枯れた。いまでも海水に半ば浸かりながらなお根を下ろす草木の姿は、自然の力強さそのものだ。やがて温暖化で海面が上がれば、こうした海辺の湿地と草木は失われていく。
昼は羅臼で海鮮丼を食べた。羅臼は、羅臼昆布の産地だ。
冬の根室海峡には、流氷とともにオホーツク海から栄養に富んだ水が入り込み、氷が退いた春にはプランクトンが一斉に増える。豊かな海が育む食材を味わうのも、知床の旅の楽しみだ。
羅臼からは、CLA 200 with EQ Technologyに乗って知床峠を越えた。標高738mの峠では、正面に羅臼岳がそびえる。冬は通れなくなるため、日本一開通期間が短い国道としても知られる道だ。EVは床下に電池を積むぶんハイブリッドより重く、その重さで車体は安定する傾向がある。後輪を駆動するモーターには2速のトランスミッションを組み合わせ、発進時の力強さと速度を上げたときの効率を両立する。
峠の上りでも力に余裕があり、そしてエンジン音はない。疾走感に身を委ねながら、鳥の声に耳を澄ませる。


