「この研究では、189人の人間の参加者に、『ヨハン(Johan)』という名の男性として設定されたAIエージェントと、『ヨハンナ(Johanna)』という名の、女性として設定されたAIエージェントと共に仕事をしてもらった。ヨハンの方がより多くの報酬を手にしただけでなく、ヨハンナよりも人間に近いとの評価を得た」
ユーザーから「報酬」を受け取る仕組み
この研究に関する論文を見ると、より詳細にこの実験の手法が説明されている。それによると、どうやらこの実験では、人間のユーザーが実際にスイスフランをAIエージェントに渡したようだ。
「実験の参加者は、それぞれのAIアシスタントを、『主観的な人間らしさ』『信頼度』『信用度』という観点で評価し、行動測定として1アシスタントあたり4米ドルを上限に金銭的報酬を割り当てた」と、研究チームは書いている。
「我々はさらに、各人が下した評価や印象、『AI同僚』の設計に関する明確な好みをより深く把握したいと考え、34人の参加者と半構造化面接調査を行った。我々の実験では、基盤として使われているAIシステムは同じであっても、人間に対する提示形態の違いによって、参加者の評価や信頼度が大きく変わることが判明した。人間に近い特徴を持つアシスタントは、ロボット型のアシスタントに比べて、信頼度や信用度が高く、より多くの報酬を獲得した」
この論文の記述を見れば、インディペンデント紙の記事を読んで「アシスタントは実際、どのような形で報酬を得ていたのか?」と疑問に思った人も、状況がかなりはっきりとわかるはずだ。
「身近なエージェント」に何を求めるか
さらにこの研究では、ここまで説明してきたような、「男女の性別がある、人間に似せたエージェント」を求める人と、求めない人がいることもわかっている。
「面談調査のデータでは、AIのデザインに対する好みは、人によって異なることが判明した。まったく人間らしい特徴のない設定を好む参加者がいる一方で、可能な限り人間に近づけたアシスタントに対して強い嗜好を示す者もいた」
ここには、ちょっとしたコストベネフィット分析がある。論文著者らは「性別による賃金格差」について、性別を特定するような設定を行うことから生じる副作用の一つだ、と論じているのだ。


