経営・戦略

2026.10.29 08:30

フードロスから多角化で、売上高2.5倍、営業利益5倍へ──ブレイクスルー企業100(第5回)クラダシ

クラダシ代表取締役社長CEO 河村晃平(撮影=曽川拓哉)

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──27年6月期の予想は、売上高が前期比2.5倍の95億円、営業利益は5倍の5億円と大きく伸びる計画ですね。

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河村:この3年間、種をまき続けてきたものが実り始め、積み上げるとこの数字になると考えています。フードロス事業はすでに酒類販売を手がける中村商事や法人ギフトを扱うみとわを買収してきましたが、引き続きM&Aによって事業を強化していきます。エネルギー事業においては、今稼働しているのは1箇所ですが、新たな系統用蓄電所が順次、稼働開始予定です。今期中に3箇所の稼働を見込んでいます。空き家再生事業は今期の予算にまだ織り込んでいませんが、今後は売買だけでなく、施設利用や賃貸管理事業を考えており、アップサイドとしてどれくらい伸びるかを楽しみにしています。

──業績予想は大きく成長する見込みですが、現在の時価総額は77億円(10月26日時点)。どう受け止めていますか。

河村:市場の評価は真摯に受け止めています。前期にやっと黒字転換したばかりなので、まずは成長と利益を継続して出せることを実績で証明する段階だと考えています。赤字から黒字に転じるタイミングは、投資家の皆さまに最も注目していただける局面であり、同時にトラックレコードが問われる局面でもあります。今期はまさにその真価が試される1年。計画を着実に達成し、期待に応えていきたいと思います。

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また赤字になるのではないかという目で見られているので、今期は最も試される1年です。

──今後、中長期的に取り組んでいくことは何をお考えでしょうか。

河村:海外展開に取り組みたいと考えています。Kuradashi Food、Kuradashi Energy、Kuradashi Estateそれぞれで、市場は国内外にあるので、将来的には海外展開も目指していきたいですね。また、先ほどもお話ししたように、100億円の事業を10個作りたいと思っていて、領域の拡大も検討しています。

──新たな領域を考える上で、どのように意思決定をしますか?

河村:まず市場規模が十分にあるかを重視します。もう1つは、国の課題であるかどうか、つまり時流に乗れているかです。早すぎても遅すぎてもだめで、タイミングを見極めて参入します。例えばエネルギー事業は、政府が2024年12月に公表した第7次エネルギー基本計画の原案で、再エネ活用を進めていこうとする内容があり、今スタートしようと決めました。そして25年1月に、1案件目となる「栃木小山蓄電所」を取得し運用を始めました。

「目標を見失った状態」からの再起

──経営者として、苦しい時期はありましたか。

河村:上場後の半年から1年ほどは、正直なところ気持ちが上向かずにいました。上場を旗印に成長を追い求めてきましたが、それ自体が大きな成果になってしまい、次の目標や方向性を見失った状態だったのです。

──その状況から、何が変わったのでしょうか。

河村:IPOから1年後に社長を引き受けると決めて中計をつくったことです。クラダシの成長が世の中に与えるインパクトに、あらためて目を向ける機会になり、事業を多角化していくことにもワクワクしました。

経営者として刺激を受けた出来事はもう一つあって、それが25年5月に参加したハーバード大学主催の経営者向けの学習プログラムです。世界中の企業オーナーや社長が集まる場で、数千億円規模の企業を率いる人や、ファミリービジネスの当主もいたのですが、実はみんな同じような悩みを抱えているんです。「事業も成功し家族もいるけれど、トップとしてはいつも孤独だ」と話していたりする。それでも皆さん、工夫しながら楽しく事業に向き合い、良い人生を送ろうとしていました。それを見て、自分が日々感じる悩みも、経営者なら誰もが通る道なのだと思えて、少し気が楽になりました。うじうじしていても仕方がない、と思えるようになった出来事です。

──最後に今後の株主還元について教えてください。

河村:現在は、株主優待制度として、EC「Kuradashi」でご利用いただけるクーポンをお贈りしています。株主の皆さまに当社のサービスを実際に使っていただき、ユーザーとしても応援していただきたいという思いからです。

事業の成長を通じて企業価値を高めていくことが、株主の皆さまへの最大の還元になると考えています。一方で、資本効率は非常に重視しており、ROEを意識した経営を続けていきます。配当などの還元方法については、成長投資とのバランスや資本配分を見極めながら、適切なタイミングで検討していきます。

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文=露原直人 撮影=曽川拓哉

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