経営・戦略

2026.10.29 08:30

フードロスから多角化で、売上高2.5倍、営業利益5倍へ──ブレイクスルー企業100(第5回)クラダシ

クラダシ代表取締役社長CEO 河村晃平(撮影=曽川拓哉)

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エネルギー事業は初年度5億円の売り上げ

──25年1月に開始したエネルギー事業「Kuradashi Energy」と、今年4月に開始した空き家再生事業「Kuradashi Estate」について教えてください。

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河村:Kuradashi Energyは、1つは、系統用蓄電池を運用する事業です。蓄電池を設置して、電気が余っているときに溜めておき、足りないときに送り出す仕組みです。これを実現するには、設備をどこにどう設けるかという計画づくりと、工事や運用が予定通りに進むようにまとめる役割が必要です。費用の調達や、収益分配の仕組みづくりもあります。これらを弁護士や税理士の方々とも一緒に進めています。

もう1つは小売で、買収した中京電力による電力小売事業です。現在は主に食品メーカーさまをはじめとした法人一般消費者向けに販売しています。フードロス削減とは異なる領域ですが、提携する約2300社の食品メーカーの倉庫に対して、電力小売を提案できます。

電力の切り替えにとどまらず、太陽光パネルや倉庫に付随する小型蓄電池まで含めて、トータルのエネルギーソリューションとして提供しています。

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Kuradashi Energyは初年度で約5億円を売り上げ、前期の利益はフード事業と同程度にまで成長しました。

空き家再生事業は、今年4月に不動産の売買・仲介事業を手がけるIntegrityとの共同出資によって生まれたNestiaが担っています。まずは体力作りとして、空き家を仕入れて売却する事業を始めています。日本には約900万戸の空き家があり、これらを負の資産のままにせず、価値のあるものとして転用していく担い手が必要だと考えました。

──フードロス事業についても現状を教えてください。

河村:フード事業は祖業であり、今も事業の一番の柱です。人員でいうと、全体の8割ほどがフード事業にいて、今期の売り上げの多くも、ここから生まれる見込みです。ECにとどまらず、日本郵便と共同で始めた冷凍宅配食「post chef」弁当や、リアル店舗の出店にも取り組んでいます。さらに、ECで培った知見を生かし、メーカーの在庫を一括管理するサービスも展開しています。

──リアル店舗は、2022年にたまプラーザでオープンしましたね。進捗はいかがですか?

河村:フラッグシップという位置づけでしたが、月間の売り上げは当初の倍以上になり、成長しています。取材や採用では「たまプラーザでクラダシさんを知りました」という声が多く、1店舗だけですが効果が出ています。成城石井さんは250店舗ほどですが、みなさんご存じですよね。200〜300店舗が知名度の分水嶺だと考えていて、数年でそこを目指したいです。

1000億円企業を見据え、カンパニー制導入

──2024年7月にカンパニー制へ移行されました。その背景を教えてください。

河村:事業の成否は意思決定のスピードで決まります。権限を与えることで、スピードを上げたかったという意図です。同時に、権限には責任が伴いますので、各カンパニーのCEOには、自分の事業でどう利益をつくるのかまで責任を持ってほしいと考えています。自分の事業が伸びているのか、利益が出ているのかは、トップが一番気になるはず。その自立心をつくる狙いもありました。

私は将来的に、100億円規模の事業を10個つくり、1000億円の企業を目指したいと思っています。そのときに、1人の番頭がすべての事業を見続けることはできません。各カンパニーのトップの当事者意識が高まれば、常にその事業のことを考え、アイデアも生まれます。そのときにアイデアを実行できる権限が必要です。自分たちで率先して動ける人が生まれる組織にしたかったのです。

──手応えはいかがですか。

河村:各カンパニーが自律的に意思決定し、「自分の城は自分で守る」という意識は強くなっています。私自身は、各カンパニーの最適化が全社の最適化になっているかどうかを見極める役割です。

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文=露原直人 撮影=曽川拓哉

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