エネルギー需要の高まりと価格上昇を踏まえ、スロバキアはEUに対し、ロシアへの制裁を緩和するよう求めた。一方、EU側はこれに応じない姿勢を示している。
EUは12日、ロシアの軍産複合体を標的とした新たな制裁を採択したと発表した。その際、EUの外相に当たるカヤ・カラス外交安全保障上級代表は、「今はロシアに対する圧力を緩めるべき時ではない」と強調した。この2日前、ドナルド・トランプ米大統領が「ロシアが米国を含む国際市場に30万トン以上の軽油を供給する」と発表したことを受け、カラス上級代表はX(旧ツイッター)に「ロシア産軽油に対する制裁を停止すれば、同国にウクライナ侵攻を継続するための資金を与えることになる」と投稿していた。
それでもなお、EUは2026年末までにロシア産LNGの輸入を段階的に廃止するという目標を達成できない可能性がある。EUは冬を控え、エネルギー需要が高まる中で、ロシア産LNGの輸入を段階的に停止する方針を掲げている。米調査会社S&Pグローバル・エナジーも、中東から欧州への9月の軽油輸出量は6年ぶりの低水準となる見通しだとしており、燃料価格の高騰に直面しながら新たなエネルギー供給源を模索するEUにとって、さらなる圧力となっている。
EUがロシア産LNG輸入の段階的廃止を表明したのは、イラン紛争が勃発する前の2025年12月だった。それ以降、エネルギー危機が深刻化する中で、EUには対応の余地がほぼなくなっている。
一時的な解決策として、緊急停止措置の発動が考えられる。EU理事会によると、「1つ以上の加盟国で、エネルギー供給の安全性を深刻に脅かすような、突然かつ重大な事態が発生した場合」、EUの執行機関である欧州委員会は「短期契約に対する輸入禁止措置を最大4週間、一時的に解除」することができる。
だが、この一時的な解除を超えて措置を緩和することは困難だろう。2025年10月23日に採択された対ロシア制裁で、EUはロシア産LNGの輸入禁止を導入した。この禁止措置は、長期契約については2027年1月から、短期契約については6カ月以内に発効することになっていた。LNGの輸入禁止措置も制裁の一部であるため、緊急条項の範囲を超えて緩和するには、EUに加盟する27カ国全ての合意が必要となる。
EUのエネルギー総局は、ロシアがウクライナへの全面侵攻を開始した2021~22年の冬と比べ、今冬は「ガス供給源の多角化が進み、LNG輸入能力が向上し、ガス需要も減少している」ことから、EUは「より万全な備えができている」と明言している。他方で、エネルギー危機が続く中、冬の到来を控え、EUは設定した期限とエネルギー安全保障のバランスを慎重に検討せざるを得ない状況にある。
先述のシュミット博士は、「欧州の指導者らは、2027年冬の需要を確実に満たせるよう、代替となるLNG供給源の確保に積極的に取り組む必要がある。同時に、ロシア産LNGの輸入に逆戻りするような事態は断固として避けなければならない」と強調した。「結局のところ、欧州の政策立案者らは、エネルギー問題で『プーチン大統領との従来通りの関係』に戻るような事態を断固として避けなければならない。さもなければ、隣国ロシアの復讐主義的な指導部によって、欧州はこれまで以上に深刻な国家安全保障上の危機にさらされることになるだろう」


