欧州

2026.10.28 11:00

EUのロシア産ガス輸入の廃止目標、期日までに達成できない可能性も

欧州連合(EU)のダン・ヨルゲンセン・エネルギー担当委員。2026年6月9日撮影(Dursun Aydemir/Anadolu via Getty Images)

EUのエネルギー規制当局間協力庁(ACER)は、「EUの一部地域では、ロシア産天然ガスの長期契約が依然として存続している」と報告した。ロシアからのLNG貨物は、ベルギー、フランス、オランダ、スペインに到着している。一方、ギリシャ、ハンガリー、スロバキアでは、ロシアからのパイプライン経由の天然ガス供給契約が現在も続いている。ACERによると、ロシア産天然ガスは依然としてEUのガス需要の約12%を占めている。

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米ペンシルベニア大学のベンジャミン・L・シュミット博士は取材に対して、EU域内にはロシアとの長期ガス供給契約が依然として残っていると指摘した。同博士は、「LNGの供給不足は世界的に深刻化しており、この傾向は今後も続く可能性が高い」とみている。さらに、ホルムズ海峡やペルシャ湾周辺で、イランが民間のエネルギー輸送や湾岸諸国の輸出施設に対して脅威を与え続けていることも、EUのエネルギー市場に対する圧力となっていると説明した。

EU加盟国の中には、ロシアに対するEUのエネルギー政策に反発している国もある。ハンガリーとスロバキアは2026年初頭、ロシア産エネルギー資源の禁輸措置を不服として、共同でEUを提訴した。両国とも、ロシア産原油に大きく依存してきた経緯がある。

レビ課長は次のように説明した。「ハンガリーとスロバキアは、ロシア産原油の禁輸措置に対するEUの免除規定を利用し、段階的な脱却どころか、むしろ依存を深めている。ハンガリーのロシア産原油への依存度は、2021年の61%から2025年には93%にまで拡大した。ロシア産石油は『裏口』からも流入している。EUが1月21日にロシア産石油製品の輸入を禁止したにもかかわらず、2~8月にかけて、ロシア産原油を原料とする第三国の製油所から出荷された石油製品が90回以上、EU域内の港で荷揚げされた」

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他方で、EUのエネルギー情勢は依然として逼迫(ひっぱく)している。EU当局者も、欧州がエネルギー危機に直面していると警告している。EUのダン・ヨルゲンセン・エネルギー担当委員は9月25日、EU各国のエネルギー相に宛てた書簡の中で、「われわれは、供給危機に端を発する価格危機に直面している」と指摘した。その上で、「ガス貯蔵施設への補充を維持したり、ガスや電力の需要を必要な期間にわたって削減したりするための措置を講じることを検討してほしい」と呼びかけた。

エネルギー経済・財務分析研究所(IEEFA)によると、EUはガス貯蔵施設の充填(じゅうてん)率が約72.4%の状態で冬を迎えようとしている。これは2011年の記録開始以来、この時期としては最低の水準となる。同研究所は、貯蔵量の不足により、EUは今冬のガス需要を前年比で7%削減する必要に迫られる可能性があると警告している。IEEFAは、「ガス貯蔵への依存度が高まることは、欧州にとって大きな財政的負担となっている」とし、「ガス貯蔵施設の拡充に資金を投じることは、化石燃料施設を今後数十年にわたって固定化してしまうリスクがある」と指摘した。

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翻訳・編集=安藤清香

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