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2026.10.30 18:00

AI競争でメタはなぜ「カワイイ」を選ぶのか──企業不信・広告効果・人間関係への不安を探る

マーク・ザッカーバーグが手にしている小型機器が、『Muse Charm』。この機器の中にマスコット「Jolly」が登場するという。Photo by Andrej Sokolow/picture alliance via Getty Images

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AIエージェントには、個人情報だけでなく判断まで委ねる必要がある

自律型AIエージェントが利用者に代わって作業するには、メール、予定表、連絡先など、極めて機密性の高い情報へのアクセスが必要だ。家族や友人にさえ見せたくない人が多い情報である。チャットボットでは最後の判断を利用者自身が下すが、AIエージェントを使うには、判断や行動をAIに委ねる範囲をさらに広げなければならない。

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OpenAIやスペースXAIもキャラクター付きのサービスを打ち出す

「カワイイ」をAIの魅力として打ち出すのはメタだけではない。OpenAIは米国時間2026年9月29日、常時稼働するAIエージェント群「dots」を発表した。各エージェントには色鮮やかなマスコットが添えられ、専用のクラウドコンピューターとブラウザーを備え、4000以上のアプリに接続できる。米AI企業スペースXAIも、複数のAIエージェントで構成される「Grok Bot」を発表した。

便利さへの期待と、雇用喪失や人間関係への不安が衝突

最先端AIの開発企業は難しい課題に直面している。AIエージェントが登場するのと同時に、データセンター、雇用の喪失、人間同士のつながりの希薄化への反発が起きている。Z世代は、何にでもAIを最大限使おうとする風潮に反発している。著名なテック業界のリーダーや研究者からは、AIが人類の絶滅を招きかねないとの警告も出ている。

Jollyに批判的な人々は、個人データにアクセスし、利用者の選択に影響を及ぼそうとする強力な技術を、「カワイイ」マスコットで親しみやすく見せていると考える。支持する人々は、AIエージェントが日常の雑事を引き受ければ、人間らしい時間をもっと楽しめると主張する。

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AIを人間のように扱うべきか、開発企業の間でも見解が分かれる

賛否の議論を超えて、テック企業は大規模言語モデル(LLM)を擬人化し、優しく親しみやすく、「カワイイ」と感じられるようにしている。さらに踏み込む企業もある。Claudeを開発したアンソロピックは、AIに意識があるかどうかを研究中だ。AI自身の好みや苦痛の兆候にどのような配慮が必要かという「AIモデルの福祉」も、研究対象に含まれる。

マイクロソフトAIの最高経営責任者(CEO)ムスタファ・スレイマンは、AIを人間のように扱う姿勢を批判している。AIを人間のように扱えば、半導体を基盤とするAIが、人類に対抗する新たな「種族」になりかねないと警告した(注:Microsoft Officeには、Office アシスタントとしてかつてイルカのキャラクター「カイル」がいた)。

AIが友人の不足まで埋める未来に、人間同士のつながりはどう変わるのか

AIエージェントの普及は、便利さと人間同士のつながりのどちらを重視するかという重大な選択を突き付ける。ザッカーバーグは「Dwarkesh Podcast」の対談で、米国人が実際に持つ友人は平均3人未満だが、つながりたい相手は15人いると語った。AIが友人関係の数の隔たりを埋める未来を構想している。

親しい仲間の多くが、「カワイイ」外見を持ち、友好的で、利用者の希望に快く応じるAIエージェントになり、日々の用事まで済ませてくれる世界を想像してほしい。映画『ウォーリー』の宇宙船アクシオムでは、乗客が四六時中浮遊する椅子に身を預け、あらゆる世話をロボットに任せていた。

人類の未来を、1兆ドル(約157兆円)規模のテック企業と、「カワイイ」玩具のどちらに託すべきだろうか。そもそも、両者に違いはあるのか。

(forbes.com 原文)

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