かつらをかぶったカイマン(ワニの一種)、色気のあるカマキリ、中指を立てるオランウータン──待望の「ニコン・コメディ野生動物写真アワード」で最終候補に残ったのは、くすっと笑える、楽しい作品ばかりだ。今回は、同アワード史上最多となる1万点が、112カ国から寄せられた。
同アワードが目指すのは、ユーモアを通して野生動物保護がいかに喫緊の課題であるかに目を向けてもらうことだ。主催者によれば、2026年の最終候補作は、「野生動物のありのままのすばらしさを称えた、見る人の心を奪い、心が温まり、笑いを誘う」見事な作品ばかりだという。
最優秀賞受賞者には、ケニア・マサイマラ国立保護区の高級サファリキャンプ「Alex Walker's Serian」での宿泊体験が贈られる。他の受賞者には、ニコン製カメラや撮影機材などの賞品も用意されている。
同アワードは、プロ写真家のポール・ジョンソン・ヒックスとトム・サラムが2015年に共同創設。目指すは、野生動物をとらえたすばらしい写真と、前向きなユーモアの力を融合させ、かけがえのない地球のよりどころである野生動物ならびにその生息地の保護活動を推進することだ。
また、持続可能な保護活動に取り組む組織への支援も毎年実施している。今年、同アワードは、国際慈善団体ボーン・フリー財団と協働している──野生動物を搾取から救済・保護し、危機に瀕する種とその生息地を未来へと引き継ぐべく保全活動に取り組む団体だ。
共同創設者のサラムは、「コメディ野生動物写真アワードは、セレンゲティの広大な草原の片隅で静かに誕生した」と話す。「野生動物保護の意識向上に向けて始まった小さな試みはいまや、私たちの想像をはるかに超えたかたちへと成長した」
最優秀賞受賞者、各部門賞受賞者、入選者は、2026年12月8日に英国ロンドンで行われる授賞式で発表される。その後、2026年の最終候補全作品を披露する写真展が、同市内のギャラリー「Gallery@Oxo」で、12月9日から13日までの1週間開催される予定だ。
一般投票で決まる「ピープルズ・チョイス・アワード」
AI不使用・手作業による自然写真のファインアートを制作するプロジェクト「Sterna」がスポンサーを務める「ピープルズ・チョイス・アワード」は、誰でもお好みの写真に投票でき、10月2日から2027年3月1日まで投票を受け付けている。投票参加者のうち、抽選で選ばれた幸運な当選者1名には、500ポンド(約10万5000円)の賞金が贈られる。
南大西洋に浮かぶサウスジョージア島のゴールドハーバーにようこそ。自然界で最もカオスなビーチリゾートだ。氷河と山々に囲まれ、息をのむような美しい場所だが、パーソナルスペースはゼロ。ここでは、オウサマペンギンとミナミゾウアザラシが海岸を共有しながら、あるゲームを繰り広げている。そのゲームの名は、「重さ4トンの巨体につぶされるな」。丸々と太ったミナミゾウアザラシが動くたび、オウサマペンギンたちは散り散りに逃げていく。まるで、キックボードで疾走する子どもを避けようとする大人のように。
パニックに陥ったオウサマペンギンのヒナたちが必死で逃げるなか、山のように巨大な雄のミナミゾウアザラシが、絶妙なタイミングで、10点満点の最高の笑みを浮かべた。



