満足度は過去最高を記録している。一方で、エンゲージメントは落ち込み、その後回復していない。それぞれの指標が何を測っているのかを理解すれば、この2つの乖離は矛盾ではないことがわかる。満足度は「現在の雇用条件や労働環境を受け入れられるか」を問うものであるのに対し、エンゲージメントは「その仕事に自ら情熱を注いでいるか」を問うものだ。人は長年にわたって1つ目には「はい」、2つ目には「いいえ」と答え続けることができるし、現に多くの労働者がそうしている。
平均値が覆い隠す格差
職務満足度に関する全国平均の前向きな数値は、実態の多くを覆い隠している。そして報告書は、その裏に潜む実態を率直に浮き彫りにしている。
満足度は世帯年収2万5000ドル(約390万円)未満では45.3%だったのに対し、15万ドル(約2300万円)以上では76%だった。世帯年収5万ドル(約780万円)未満の労働者は、他の所得層と比べてエンゲージメントや帰属意識、定着意欲が際立って低い。言い換えれば、この過去最高という記録は、高所得者層の回答によって全体平均が不相応に押し上げられた結果にすぎない。
男女間の格差はさらに顕著だ。27項目の仕事の要素のうち、26項目で男性の満足度が女性を上回った。女性が男性を上回ったのはワークライフバランスの1項目のみである。特に乖離が大きかったのは、賃金(7.2ポイント差)、健康保険(7.0ポイント差)、退職金制度(6.3ポイント差)、昇進方針(6.2ポイント差)だった。リストをもう一度見てほしい。これは単なる福利厚生のリストではない。40代半ばを迎えた際のキャリア形成や資産状況を決定づける極めて重要な要素ばかりだ。
ここで1つ、注記ではなく本文で触れておくべき留意点がある。コンファレンスボードは米国の労働者全体を対象に調査しており、世代別の内訳は公表していない。そのため、このデータにミレニアル世代(1980年代初頭〜1990年代半ば生まれ)固有の数値が切り分けられて反映されているわけではなく、特定の世代のみの傾向として断定的に解釈することは避けるべきだ。このデータが明らかにしているのは構造的な全体像であり、その狭間に立っているのが中堅層の労働者たちである。募集されているエントリーレベルの職には経験を積みすぎており、その一方で、新規採用枠が縮小した管理職層に入るにはまだ経験が足りないという立場の人たちだ。


