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2026.10.31 16:00

米労働者の7割近くが「仕事に満足」、その裏に潜む「期待値の下方修正」

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米国において仕事に対する満足度は、かつてないほど高まっている。コンファレンスボード(全米産業審議会)の調査によると、2026年の職務満足度は68.9%に達し、前年の68.3%から続伸して16年連続の上昇を記録した。68.9%という数字は1987年の調査開始以来過去最高で、各方面で「職場環境がようやく改善に向かった証拠」として受け止められている。

だが、もう一段深く掘り下げてみると、全く異なる実態が浮かび上がる。仕事を構成する個々の要素、つまりキャリアを通じて実際に積み上がっていく待遇や環境への満足度は、平均でわずか59%にとどまっている。コンファレンスボードの研究員は、この総合的な数字について「給与や昇進、福利厚生に対する不満を覆い隠している可能性がある」と指摘している。

この一文に全体像が凝縮されている。これを「グラティチュード・ディスカウント(感謝による基準の切り下げ)」と呼ぼう。つまり、労働者が無意識のうちに、現状を「及第点」と思える水準まで、自らの期待値を引き下げてしまう現象のことだ。

「安堵」としての満足度

この過去最高の満足度は、雇用の拡大がほぼ停滞している労働市場で打ち立てられたものだ。9月の雇用者数(非農業部門)は2万9000人増にとどまり、前年の月平均4万5000人を大きく下回った。失業率は4.2%、27週間以上の長期失業者数は190万人と、全失業者数の27.1%を占めている。

この2つの事実は、同じ文脈で語られるべきものだ。月に数万人規模しか雇用が増えない市場においては、今ある仕事を維持できること自体が「勝利」とみなされる。そして、その安堵が「満足」という形として表れる。調査の数字だけでは、労働環境が本当に改善したのか、それとも働く側が現実と折り合いをつけて基準を下げたのかを判別することはできない。

給与データを見ると、どちらが起きたのかを知る手がかりが得られる。同じ職場にとどまった人の賃金上昇率は前年比約4.4%にとどまる一方、転職者では7.3%に達した。現職にとどまることは一見「現状に満足している」ように映るが、昇給機会の喪失という観点から見れば、極めて大きな機会損失を伴う選択でもある。

「満足」しているが「エンゲージメント」は低い

もし労働環境が真の意味で改善しているのであれば、連動して動くはずのもう1つの重要指標がある。しかし現実はそうなっていない。米ギャラップ社の調査によると、2026年上半期の全米の従業員エンゲージメント率は31%に低迷し、2025年から変わっておらず、ピークだった2020年の36%からは低下したままだ。ギャラップの試算によれば、6年前と比べてエンゲージメントの高い米国の労働者が約800万人減少していることになる。さらに全体の18%は、積極的に仕事から距離を置き、冷めた態度をとっている。

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翻訳=溝口慈子

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