そこでラムとラッキーは、軍で最も優れた成果を上げている犬を選び、クローンを作製したうえで、股関節形成不全の低減や嗅覚の強化といった能力向上を図ることにした。これにより、軍や法執行機関が訓練を無事に通過し、爆発物探知や捜索救助といった任務に必要な水準を満たす犬を確保できるようにする考えだ。「これは、私たちがかつて思い描いていたSFのような未来だ」とラムは語る。
ラムによれば、ウォーハウンドはすでに最初の細胞株をバイオバンクに保存しており、こうした望ましい形質を対象に遺伝子編集を始めている。「今後数カ月」で最初の「ウォーハウンド」を生み出し、2年以内に最初の犬を配備できる見通しだという。
米陸軍は1942年に初めてK-9(軍用犬)部隊を創設し、現在、米国防総省の軍用使役犬プログラムは2200以上のチームで構成されている。ウォーハウンドによれば、その犬の80%以上は欧州から調達されている。米空軍の2025年度予算では、軍用使役犬プログラムに4500万ドル(約70億6000万円)を計上したとされる。
2025年11月、コロッサルは犬を含む動物のクローン作製を専門とするViaGen Pets & Equine(バイアジェン・ペッツ・アンド・エクワイン)を買収した。「私たちは犬の遺伝学について多くの知見を持っている」とラムは語る。ウォーハウンドは、すでに複数の任務をこなしたベルジアン・マリノアのような最も優秀な犬を選び、クローンを作るだけでなく、その遺伝子を強化することができる。
「人間が形質を求めて犬を繁殖させてきた過程では、望ましい突然変異が現れることもあれば、望ましくない突然変異が現れることもある」とラムは言う。例えば、筋萎縮や股関節形成不全を引き起こす突然変異を取り除いたり、敏捷性、さらには長寿に関わる遺伝子を改善したりできるという。「これは、犬が訓練を通過できるようにするうえで変革的なものになり得る」と同氏は語る。同社はプログラムで米国人道協会と協力している。
ウォーハウンドのCEOに就いたデイブ・スパークは、以前はPalantir Technologies(パランティア・テクノロジーズ)のシニアアドバイザーを務め、米国防総省の初代最高データ責任者でもあった。ラムは同社の株式を保有し、取締役会にも名を連ねている。ラッキーは同社の株式を保有しておらず、取締役でもない。


