道に地雷が仕掛けられていないかや、前方に待ち伏せ攻撃が用意されていないかを確認するのに、高価なハードウェアを送り込もうとする者はほとんどいない。そうした任務は、失っても構わない機材で行うべきだ。パタクが期待しているのは、特殊任務用にロボットを数体配備するというようなものではなく、低コストのロボットを分隊単位で運用することだ。現在、1体当たりの価格は5万ドル(約780万円)ほどだが、規模の経済がはたらくようになればもっと下がるとパタクは見込んでいる。
「2万5000~3万ドル(約390万〜470万円)まで下げられる道筋は見えています。生産台数が増えるにつれて、コストは原材料費に近づいていきます」(パタク)
ゆくゆくは、ファウンデーション社はベーシックな人型ロボットを1体あたり1万ドル(約157万円)足らずのコストで量産できるようになるかもしれない。ただ、高性能な製品は値段がそれよりも高くなるだろう。突撃作戦で人員が十数人失われれば深刻な損失だが、同じ数の人型ロボットは弾薬のように使い捨てにできる。さらに言えば、人型ロボットは多くの弾薬よりも安価になるだろう。対戦車ミサイルのジャベリンは1発およそ20万ドル(約3100万円)、多連装ロケットシステム(MLRS)のロケット弾は1発およそ14万ドル(約2200万円)する。
現状では米軍が配備しているUGVはごく少数にとどまっており、大半は爆発物処理などの特殊任務用の機材となっている。パタクは、配備数が向こう10年で数万台、さらには数十万台規模に増えることを望んでいる。いずれ軍では人間よりもロボットのほうが数が多くなる可能性がある。
初期のヒューマノイド兵は、簡単な指示に従うことしかできない、基礎訓練を受けたばかりの新兵のような存在かもしれない。それでも、敵弾を引き受ける役割にはうってつけだろうし、先行して仕掛け爆弾を作動させり、敵の銃撃を引きつけて敵陣の位置を特定したりできる。歩哨のように警戒任務もこなせるだろうし、敵と最初に接触する役目も担えるだろう。
将来のロボットは、はるかに高い能力を備えるようになるはずだ。中国の開発者たちは、AI(人工知能)でのChatGPTの登場のように、人型ロボットの能力が飛躍的に向上する「ChatGPTモーメント」が2年かそこらの間に訪れると語っている。中国軍も関心を寄せているのは間違いない。ただ、単純な機能しか持たない初期型であっても、投入すれば人命を救う助けになる可能性がある。
人型ロボットを6カ月という期間で戦闘任務に投入するというフェドロウの目標は、野心的で挑発的なものであり、意図してそうした面もあるのだろう。だが人型ロボットはすでに、一部の戦闘任務を代替できる段階にあるのかもしれない。ロボットを前線に送り込める技術が存在するのなら、人間の命を危険にさらすよりも、ロボットを投入するほうがずっと理にかなっている。


