最大の課題はおそらく自律性だろう。自律型ロボットは、現在のUGVのように人間が直接制御する必要はなく、監視するだけでよくなる。パタクの話では、センサーの性能向上や視覚認識能力の改善、さらに大規模言語モデル(LLM)を発展させてきたアーキテクチャーである「トランスフォーマー」の力によって、いまではロボットは素早く学習し、未知の状況にも対応できるようになっている。
機械がこれまで一度も遭遇したことのない状況にも対処できる「ゼロショット学習」は、ロボット工学における究極の目標のひとつだ。しかしパタクによれば、軍事任務は手順や条件がある程度決まっている場合が多いので、まったく未知の状況に直面するというケースは比較的少なく、少数の事例から学ぶ「フューショット学習」で十分だという。これにより、ロボットは迅速な学習が可能になり、知識や能力の不足をすぐに補える。近いうちに、ロボットはほとんどの種類の物体を扱えるようになるだろうし、どのような障害も乗り越えられる(あるいは回避すべきだと判断できる)ようになるだろう。
仲間に代わって銃弾を身に受ける
パタクは、自社の機械がいずれ戦闘にも投入されると想定している。こうした方向性に抵抗を感じる開発者もいる。たとえば米ボストン・ダイナミクス(韓国の現代自動車グループ傘下)は、同社製ロボットの武装化を厳しく禁じている。だが、敵弾にさらされる場所に人間ではなくロボットを送り込めば、人的損害を出さないようにできる。ウクライナのある部隊は、2026年末までに前線要員の3分の1をUGVに置き換える計画を立てている。人型ロボットはUGVと比べて、はるかに幅広い状況で兵士の代わりを務められる。とりわけ、凄惨な戦闘になることで知られる市街戦では有望な選択肢になるだろう。
人型ロボットは、敵の射撃を引きつける「弾よけ」として使われる可能性もある。パタクによると、ファントムは体の複数の箇所に銃弾を受けても動き続けることができる。人間と違って胴体に生命維持に不可欠な臓器が詰まっているわけではなく、出血多量で死ぬこともない。たとえ行動不能になっても、ロボットなら修復可能だ。
ファントムは爆風にも強く、瞬間的に100Gの衝撃を受けても耐えられるという。これはすぐ近くに砲弾が着弾した場合に相当する強さだ。人間が同程度の衝撃を受ければ、外傷性脳損傷をはじめ、さまざまな傷害を負うおそれが強い。


