サイエンス

2026.11.04 15:30

「AI×量子コンピューティング」が引き起こす医療革命、創薬の限界を突破する技術融合の衝撃

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AI(人工知能)、量子コンピューティング、先進ネットワーク、ロボティクス、バイオテクノロジーとその関連分野が相互に結びついて発展することで、一つの時代が到来した。筆者はこれを「技術的融合が加速する時代(Acceleration Era of technological convergence)」と呼んでいる。この融合が人間にとって最も大きなインパクトを持つ領域は、ヘルスケアと医学研究だ。

すでにAIが、創薬パイプラインと臨床ワークフローを変えつつある。さらに、コンピューティング、センシング技術、セキュア通信といった量子技術は、研究室での概念実証から、初期の臨床ならびに研究応用へと急拡大中だ。これらを組み合わせることで、従来のシステムでは考えられなかったポテンシャルが開花する。

21世紀が、物理学とAIによって加速するバイオロジーの世紀であることは、過去に米フォーブス誌ですでに述べている。

ヒトゲノム計画は、ほんの始まりにすぎなかった。健康な時も、病気の時も、その背景にいる主要な働き手は、タンパク質だ。治療薬を開発する時には、疾患に関連するタンパク質を特定し、その構造を解明し、バインダー(標的タンパク質に結合する化合物)を突き止め、新薬候補物質をテストすることが欠かせない。

人類がこれまでに合成してきた、新薬候補となり得る低分子化合物のケモタイプ(化学構造のタイプ)は1000万種に満たない。それに対し、理論上の化学空間(理論上存在し得るすべての分子や化合物)はデシリオン(10の数十乗、定義により異なる)の規模になる。こうしたギャップが、従来のAIと古典的な試行錯誤の双方に課題を突きつけている。

総当たりで探索を行うのは不可能だ。既存データのみを学習した純粋なデータ駆動型AIは、真に新しい化学構造を発見するのではなく、既知の化合物のバリエーションを頻繁に再発見するにとどまる。薬物分子が水中でタンパク質とどのように相互作用するかを、量子物理学を用いて正確にモデル化することは、長年、計算科学における難題とされてきた。

しかし、その状況は変わりつつある。量子・古典のハイブリッドアプローチや、ディープ量子モデリング(Deep Quantum Modeling)を統合したプラットフォームなど、量子インフォームド・モデリング(Quantum-informed modeling)の発展により、これまでにない全く新しい分子の設計や、研究室で合成する前のより正確な結合予測が可能になっている。その後、AIが物理学的なアプローチに基づいて、それらの候補分子をさらに洗練していくことができる。

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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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