重要インフラは数百キロ続くフェンスでも、ドローンを防げない
その問いが切実になるのが、警備の専門家が「失敗の許されない施設」(no-fail sites)と呼ぶ場所である。重要インフラや軍事基地、港湾といった、物理的に巨大な施設だ。
こうした施設は、数百マイル(数百キロメートル以上)にわたるフェンスに囲まれていることが多く、その一部は起伏の激しい土地を通っている。そもそもフェンスで囲われていない施設もある。地上と空の両方に高度で一段上の警備の仕組みがなければ、驚くほど無防備な状態にある。
例えば、ウクライナでの戦争を思い浮かべずにはいられない。この戦争はある意味で、石油精製所や船舶、港湾、さらにはデータセンターまでを互いに削り合う、インフラの消耗戦になっている。
現実には、北米と欧州の重要インフラの多くは、ほとんど無防備に等しい。例えばフェンスではドローンを止められない。警備が手薄で狙いやすい標的(ソフトターゲット)は、いくらでも残っている。
「警備の分野に深く入り込むにつれて、こうした標的がどれほど脆弱なのかがわかってきて、本当に驚かされました」とヘンリーは言う。
空と地上のロボットが連携、物流施設で犯罪指数が13%低下
Asylonのロボット同士は連携して動くとヘンリーは言う。例えば、ドローンが上空から何かを見つけると、24時間365日稼働の「ロボット警備オペレーションセンター」(RSOC)がロボット犬を差し向ける。ロボット犬に近くで確かめさせたり、車のナンバープレートを撮影させたりするのだ。
現在のところシステムにヒューマノイド(人型ロボット)は入っていないが、検討の対象には入っているとヘンリーは言う。
「活躍の場は広がり続けていて、データセンターはその好例です」と彼は私に語った。
「データセンターからは、言うまでもない理由で、警備の依頼が舞い込むようになっています。ですが、点検という使い道も丸ごとあるんです。扉を開ける、サーバーラックを確かめる、トレイを引き出すといったことができるか。
そういうところでこそ、ヒューマノイドをはじめとするさまざまなロボットが、システムの一部として本当に意味を持ちます。外ではロボット犬が警備し、中ではヒューマノイドが点検作業をするといった形もありうるでしょう。新しい能力と使い道が次々に生まれていて、本当にわくわくする分野です」。
ヘンリーによれば、南カリフォルニアで高付加価値の物流を担う顧客企業は、ロボット犬とドローンを組み合わせた既存のシステムを導入している。導入先の施設周辺では、犯罪指数(犯罪の発生状況を数値で示す指標)が13%下がった。
今回の発表では、ある大都市圏の水道事業体への導入例が紹介された。水道事業体に導入された1台のDroneDogは、最初の1年で4622回の自律巡回をこなし、巡回距離は5500マイル(約8850キロメートル)を超えた。その間に、警備上の異常を167件見つけ出し、人間による確認や対応につなげたという。


