古い防御設備と甘いアクセス管理が、攻撃者に隙を与える
古い設備やソフトウェアへの攻撃に加え、AIに与えた過剰なアクセス権、本人詐称、ログイン情報の窃取も問題となる。防御の強化と認証情報の管理の両方が求められている。
(11)古いウェブアプリやルーターを標的にしたAI攻撃
トレント・チャリス(European Technical)は、企業のチャットボットへの攻撃が注目されすぎているとみる。むしろ、個人の攻撃者が安全策を無効にしたAIモデルを使い、古いウェブアプリやルーターのファームウェアを狙う危険を重視する。8年前に設置したファイアウォールでは、機器の特徴を調べて防御を回避するAIモデルに対処できないという。防御側にも攻撃側の道具と同等の能力を持つAIが必要だが、AIを動かすための計算資源の費用を誰が負担するのかは未解決だ。
(12)社内文書や顧客データにAIが広くアクセスする危険
リチャード・ロスチャイルド(Richard Roths Media)は、AIが突然制御を離れるような劇的な場面より、AIに与えすぎたアクセス権を問題視する。社内文書、顧客情報、メール、業務システムにアクセスできるAIアシスタントは、権限設定の甘さやプロンプトインジェクション、意図しない情報流出を通じて深刻な問題を起こしかねない。AIのセキュリティー対策は、業務に必要な最小限の権限だけを与え、アクセスできる範囲を厳しく制限することから始めるべきだという。
(13)AIが大量生成する本人詐称と偽の取引依頼
オレグ・レビタス(Pravda SEO Inc, Real Results SEO Inc)は、プロンプトインジェクション対策は必要だと認める。その上で、AIによって低コスト化した本人詐称の危険は、十分に警戒されていないと指摘する。AIを使えば、説得力のあるフィッシング、偽造音声、取引先になりすました依頼を大量に作れる。地域の検索エンジン最適化(SEO)事業者にとっては、チャットボットを巧みに操る攻撃より、顧客のログイン情報が盗まれる被害のほうが深刻になり得る。支払いや認証情報を求める連絡は、受け取った連絡とは別の経路で確認するよう従業員に教えるべきだという。
(14)盗まれたID・パスワードとログイン状態の乗っ取り
サヒール・ネリパランバン(Paywint)は、AIが作るディープフェイクより、日々の業務で深刻なのは他人の認証情報を悪用する攻撃だとみる。盗んだIDやパスワードの利用、ログイン中の接続状態を乗っ取る行為、甘いアクセス制御によって、攻撃者は重要なシステムに直接侵入できる。企業は話題性の高い脅威に惑わされず、認証情報の保護、アクセスの監視、従業員の権限管理を強化すべきだという。


