映画の場面と計測データを同期させる仕組みと開発の経緯
無料のScareScoreアプリは、アップルのwatchOSとグーグルのWear OSに対応する。音楽を聞いて曲名を判別するアプリ「Shazam」のように、映画が流れている間に音声を認識して、どの場面が再生されているかを特定する。スマートウォッチが測定した身体反応を、対応する場面と時間的に一致させる仕組みだ。映画館の映写システムに接続する必要がないため、導入しやすい。
立体音響の制作経験が恐怖を測る発想につながった
ScareScoreの構想は、アナスタスが立体音響を手がける企業SoundFiで、パラマウントの映画『ペット・セメタリー』の配信版向けにバイノーラル音響を制作した後に生まれた。バイノーラル音響は、ヘッドホンで立体的な音を体験できるようにする技術だ。「立体音響が人の反応をどれほど強めるかに気づいた。頭上や周囲を移動する音は、何かがすぐ近くにいるような、ひどく不気味な感覚を生み出す。音響技師として音の力は知っていたが、体がどのように反応しているのかを理解し、測りたくなった」と振り返る。
開発が進むにつれ、観客の反応を受け身で分析するだけでなく、観客自身が参加できる仕組みに発展させるのが自然だと考えるようになった。「外から見える姿の奥で何が起きているのかを理解し、観客が鑑賞体験に新しい形で関われるようにしたかった」とアナスタスは話した。
ホラー以外の映画や演劇、テーマパークでも身体反応の測定を構想
ホラー以外のジャンルにも応用できるかと尋ねると、アナスタスは「もちろんだ」と答えた。
「ホラーを出発点にしたのは、我々がホラーファンのコミュニティーを愛し、恐怖や期待が体験の中心を占めるからだ。サスペンスやスリラー、犯罪を題材にした作品にも自然に広げられる。演劇、テーマパーク、他の没入型アトラクションにも応用できる。
将来的には、アクションやコメディーなどでも測定手法を開発し、検証したい。観客の反応はジャンルごとに異なるため、各場面で測定値が何を意味するのかを理解する必要がある。さまざまなジャンルの娯楽で、観客の反応を重要な要素にすることが最終的な目標だ」。


