サイエンス

2026.10.28 13:00

小児の遺伝性難病「WAS」に希望の光、自己細胞を使った遺伝子治療で劇的改善

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安全性の確認と、残る問題

今回の治療は、過去の治験と比べて安全性も向上している。この研究では、副作用としての白血病の発症は確認されず、遺伝子が修復された細胞が制御不能になって無秩序に増殖し始めた事例も全くなかった。

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さらに、この修正遺伝子がDNAのどこに組み込まれたかを分析したところ、遺伝子が修正された多数の異なる細胞から、偏りなく血液が作られていることがわかった。ベクターとなったウイルスががん遺伝子を刺激した兆候も見られなかった。

ただし、この治療法には依然としてリスクが存在する。今回の試験でも、19人の患者が深刻な有害事象を経験し、その大半は感染症だった。また、この研究には対照群が設けられていない(ただし論文の著者たちは、このように非常に希少な疾病の場合は、設けられなくてもやむを得ないとの見方を示している)。FDAでは、二次的ながんのリスクを追跡するため、今後15年間のフォローアップ調査を義務づけている。

この治療法では、認可までの道のりも一風変わっていた。その起源は研究機関だったが、その後、新薬開発の過程を経て、イタリアのNPO組織「テレソン財団」へと引き継がれ、このNPOが、欧州と米国での認可を獲得した。FDAではこの治療を、NPO組織が提出した申請がFDAに承認されたなかで、細胞や遺伝子に関わる初の事例だとしている。

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新たな治療法の登場で強まる「早期発見の必要性」

このように、しっかりとした裏付けがある治療法が生まれたことで、早期診断の必要性はいっそう高まった。今回の論文の事例では、症状が出た中央値は生後4カ月で、診断が下された年齢の中央値は1歳だった。この疾患が発現する家系であれば、母親に遺伝子検査を受けてもらい、出生時にゲノム配列の解析を依頼すれば、生まれた子が最初の深刻な感染症にかかる前に、この症候群にかかっている男児を特定できる。

この研究から得られる教訓が及ぶ範囲は、ウィスコット・アルドリッチ症候群というまれな難病だけにとどまらない。病気を持つ子ども自身の細胞の遺伝子を修正し、点滴の形で体に戻してやるだけで、その後10年以上、感染症や出血、湿疹などの症状から守ることができるのだ。

家族の側も、早い時期に診断を知っておけば、この病気が害を及ぼす前に防御体制を固めることができる。これまでは遺伝子によって運命が決まっていたかのように見えていた子どもにも、学校や、学校の外の遊び場などで成長する機会が与えられるのだ。

(forbes.com 原文)

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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