空飛ぶ鳥を見上げるべき理由
ここで、建築物に話を戻そう。チャヴァリは、16世紀に建てられたハイデラバードのチャールミナールや、クロアチアのプーラにある古代ローマ時代の円形競技場など、はるか昔に建てられた歴史的建造物の周囲に存在する鳥たちを写真に収めてきた。ドバイに立ち並ぶ現代的なビルのそばでも撮影している。
そして、鳥たちは人間と違い、建造物と超高層ビルを区別していないことに思い至った。鳥にとって重要なのは、着地して羽を休めたり、安全に飛行したりできる建造物かどうかだ。
そうやって考えると、鳥たちにとってありがたいのは、古い石造りの建物の方だろう。風化した石造建築物には、至るところに出っ張りや隙間があり、鳥たちは昔からそうした場所を利用してきた。一方、ガラスで覆われた現代的な建物は、とまれる場所がまったくない上に、進化の過程で遭遇したことのない危険も生じている。鳥は、透明な窓や反射するガラスが通り抜けられないことを認識できない。透明な窓の先には空間があり、鏡面ガラスの向こうには空が広がっているように見える。
こうして鳥たちは、人間が引き起こした最大の脅威の一つに直面せざるを得なくなった。2013年に『Avian Conservation and Ecology』で発表された研究によると、チャヴァリが作品の大半を撮影しているカナダでは、窓に衝突して死亡する鳥の数が、推定で年間数千万羽に上り、北米全体では10億羽に届くとされている。「人間には美しいと思えても、鳥にとっては危険なものになり得る」
この問題は十分に解明されており、解決策も存在する。視認できるパターンが描かれたガラスを使用したり、渡りの時期には、照明を調整して暗くしたりすると、衝突する鳥を大幅に減らすことができる。カナダのトロントを皮切りに、鳥に配慮した建築物ガイドラインを導入する都市が現在、増加傾向にある。
これこそが、このシリーズ作品が真の価値を放つ理由でもある。群れは一体化して方向転換し、カモメはタワーの上昇気流に乗る。だからこそ鳥たちは、そもそも私たち人間のすぐそばで生きていけるのだ。とはいえ、鳥のそうした知能をもってしても、人間が建てる建造物すべてから身を守ることはできない。
チャヴァリは、自分の作品が、都市と鳥が共存できないことを警告しているととらえられることを望んでいない。「共存のために必要なことに、私たちが十分に注意を払っているかどうかを、この作品が問いかけることを願っている」
まずは、空を見上げることから始めてほしい、とチャヴァリは言う。「目に入っていないものを、心から気にかけることは難しい」
彼の写真は、建物のあいだを飛び交う鳥という、どこの都市でも見かけるごく普通の光景の一つをとらえている。作品を見た人は、自分の生きる都市でも、そうした光景を見過ごせなくなるはずだ。


