チャヴァリの写真に写っているような、カモメが波のように揺れながら飛ぶ飛行ルートは、まさにその様子をとらえていると言えるだろう。鳥は、絶え間なく微調整しながら、上昇気流に乗り続けているのだ。
都市で暮らす鳥は、本当に繁栄しているのか
このシリーズ作品に登場するのは、意図的に選んだ、身近に存在する鳥が中心だ。チャヴァリによれば、人間の近くで暮らしていながら、あまり気にかけられてこなかった野生動物を撮影したかったのだという。そうした種は、「都市環境で生息できる野生動物」として引き合いに出されることが多い。そしてある意味では、実際にたくましく生きている。生物学者の言う「都市利用者(urban exploiter)」、つまり、都市のメリットを利用できるくらい柔軟性をもった種ということだ。
その最たる例はハト(ドバト)だ。都市で暮らすハトたちは、もとをたどれば、雨や危険から身を守れる崖の岩棚に巣をつくるカワラバトだ。ビルの外観は実際、カワラバトが巣づくりしていた環境に極めて近い。
猛禽類も、同様の変化を遂げた。南アジアの都市環境にすっかり適応したのがトビだ。記録によると、インドのデリーは、世界のどこよりも猛禽類の生息密度が高い都市の一つとされている。そうした鳥たちを主に支えているのは、人間が捨てる食べ物だ。
チャヴァリは、都市で暮らす鳥の数について、都合よく解釈しないよう気をつけている。「都市で生き抜いているからといって、都市が必ずしも鳥にとって安全だというわけではない」とチャヴァリは話す。
彼がそう話す理由は、イエスズメを考えればわかる。イエスズメはかつて、世界で最も身近な鳥の一つだったが、ロンドンやインド各地の都市など多くの場所では、数が激減した。生物学者のあいだでは、その原因がいまだに議論されている。
有力な説としては、建物の設計が現代化したことによって、イエスズメがかつて巣づくりしていた隙間や裂け目が喪失したことが挙げられる。鳥が何世代にもわたって人間のそばで暮らしてきたとしても、共有している空間が変化すれば、生きていけなくなることもある。チャヴァリはこう表現する。「身近だからといって、その状態がいつまでも続くとは限らない」


