新規事業

2026.10.31 15:15

大分県の技術者集団が生んだ「姫島モデル」がパラオ進出。島嶼国の共通課題を解決へ

T-PLANのGREEN HUB

BRANDVOICE | Paid Program

もっと見る>

姫島から「パラオ」へ

寺下は、2021年に一般社団法人姫島エコツーリズムを立ち上げ、姫島村・大分県・関係省庁と連携した官民連携(PPP)で「姫島モデル」を推進。EVを観光用レンタカーとして貸し出すことで、事業収益(レンタカー料)を得るビジネスモデルを構築した。これにより経済的な持続可能性を確保しつつ、タクシーやバスがない島内での高齢者の買い物・移動支援や重い荷物の運搬といった地域課題の解決にも寄与している。

advertisement

特にT-PLANの強みとなったのが、基礎工事不要でありながら、どんな過酷な環境下(オフグリッド)でも再エネ100%でモビリティを安全に走らせ続ける統合エネルギー基盤(GREEN HUB)の確立だ。大手自動車メーカーには手が出せないニッチ市場に最適化された事業構造を生み出した。

この「姫島モデル」の事例は、2019年度に脱炭素杯で「環境大臣賞」を受賞した。この受賞プレゼンを聞いた聞いた当時の駐日パラオ大使が興味を持ち、視察に訪れた際に「このモデルをパラオに持って帰りたい」と申し出たことがパラオ展開の直接のきっかけとなったという。その後 JICA の「中小企業・SDGs ビジネス支援事業 」を活用して2022年からパラオでの調査・展開が始まった。

「パラオでも重要なのはエネルギーなんです。姫島と同様に製油所がなく、輸入燃料に頼っているためガソリン代が非常に高い。地政学的な問題で輸入できなくなるリスクもあります。さらに電車やバスといった公共交通機関、タクシーもほぼありません」(寺下)

advertisement

燃料費と移動手段に大きな課題を抱えている点が姫島とも一致していた。そこで、2025年から 2026年にかけて、 パイロットプロジェクトとしてコロール州、ペリリュー州、アイライ州の3拠点にGREEN HUBを建設。まずは段階的なBtoG(政府機関への導入)に取り組んでいる。例えばコロールの拠点では、EV2台(eKクロス EV、ミニキャブEV)が大臣をはじめとする公務員の公務執行時の移動などに活用されている。

コロールのGREEN HUBを利用するニライベラス・メトゥール大臣
コロールのGREEN HUBを利用するニライベラス・メトゥール大臣

パラオ政府は2035年までにGREEN HUBの導入によって公用車178台をEV化することを目指しており、環境に配慮する観光事業者などのBtoB領域への展開を予定している。国際規格に基づくLCA(ライフサイクルアセスメント)を用いた試算によると、2035年までに180台のEVが導入され、すべてGREEN HUB で充電される場合、累積で約 557 トンのCO2削減が達成される見込みだ。

なお、EVだけを導入するケースも考えられるが、EVをディーゼル火力で発電された既存グリッド(系統電力)で充電した場合、製造時の負荷も相まってガソリン車とのCO2排出量はほぼ変わらないという。それがオフグリッドのGREEN HUBの場合、CO2排出量は約2万マイル(約3万 2000km)走行時点を境にガソリン車よりも低くなる。

次ページ > 世界の汎用インフラに

文=Forbes JAPAN編集部 写真提供=パラオ政府観光局

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事