子どもを見下さない語り方と音響が、集中力を支える
Brains On Universeのトッテンに、音声だけで子どもの注意を引き続ける工夫を聞くと、こう答えた。「子どもは音声も物語も大好きだ。幼いころからずっと歌や物語を聴いてきた。何より大事なのは、子どもを対等な人間として扱い、話しかけることだ。子どもに迎合したり、見下したりしない。難しい考えでも、分かりやすく分けて説明すれば理解できる。公共ラジオで科学記者をしていたころ、大人に説明するときも同じ方法を使った」。続けて「興味深い音や音楽を散りばめると、注意がそれた耳を引き戻せる。子どもは次に何が起きるのか、番組がどう進むのかを知るのも好きだ。繰り返し登場するゲームや冗談、歌があれば、番組の流れを覚えて楽しみにできる。そして何より、音で情景を伝えること。よいたとえを選び、楽しく説明し、聴く人の頭に絵を描くのだ」と強調する。
家庭学習や教室での活用と、年齢に合った言葉選び
カプランは、子ども向け音声番組の教材としての可能性も指摘する。「家庭学習で『The Ten News』を使う家族を何組も知っているし、学校の授業にも取り入れられる。幼い子どもなら聴いた内容を絵に描けるし、年長の子どもなら自分で調べ直せる。学校のクラスが番組を制作する活動にも協力した。マイクの前で話したくない子どもにも、調査、物語作り、音声制作、宣伝を学べる仕事がある」。
子ども向け番組の制作について、リンジー・パターソンは「子ども向けの優れたポッドキャストを始める6つのヒント」という記事で年齢差の重要性を説いた。「4歳児と9歳児では、語彙力も理解力も集中できる時間も大きく違う。単に『子ども向け』として作ると、難しすぎるか幼稚すぎるかのどちらかになり、失敗する」。
スマホやSNSが広がる米国社会で、教育番組への支援を問う
米国では、文化を巡る対立が子どもと保護者に強い影響を与えている。ソーシャルメディアは、情報を十分に理解できない幼い子どもにも広く入り込んでいる。学校に猫用トイレが設置されているという保護者発の誤情報や、古典的な書籍の禁止を巡る動きは、学校教育を文化的対立の場へ変えた。保護者が子どもにスマートフォンを買い与える年齢が下がっていることも、状況の改善にはつながっていない。子どもが自室でソーシャルメディアにのめり込む状況とは違い、子ども向けポッドキャストには家族で教育と娯楽を共有できる利点がある。何を聴くかを最終的に決めるのは、多くの場合、保護者だ。
子ども向け番組の制作と収益化の苦労を聞けば、米連邦政府が優先すべきことも見えてくる。深夜テレビ番組の司会者を威嚇するために力を費やすのではなく、教育に役立つ子ども向けポッドキャストを広め、制作を支える資金を提供すべきではないか。
保護者が承認した番組だけを子どもが聴ける『Kids Podcasts』
保護者が作った子ども向けポッドキャストの紹介サイトKids Podcasts(kidspodcasts.com)は、専用のiPhoneアプリも公開した。保護者が承認した番組とプレイリストだけを子どもの画面に表示し、再生できるようにするアプリだ。子どもが自由に番組を検索する機能や、自動的に番組を薦める機能、チャット機能はない。アプリはApp Storeで配信されている。
一般的なポッドキャストアプリは、子どもの利用を十分に想定していない。「カワウソ」や「火山」を検索しても、子ども向け番組と成人向けの番組が混在する。子ども専用アプリでも、用意された作品をすべて選べる場合がある。Kids Podcastsは逆に、まず保護者が聴かせる番組を選び、子どもは承認された作品だけを楽しむ方式を採用した。
新着回の承認、再生時間の設定、他の端末への転送
保護者には、次の機能が用意されている。
(1)新しい回の承認方法を選ぶ。番組をライブラリーに追加した後のエピソードを自動で承認するか、毎回内容を確認してから子どもに公開するかを設定できる
(2)聴取時間のルールを決める。1日の利用上限、再生しない時間帯、時間帯別に聴ける番組を設定できる。移動中には元気な番組、就寝前には落ち着いた番組を選べる
(3)新着回が反映されるプレイリストを作る。番組を選んでおけば、新しいエピソードが自動で追加される
(4)子ども用のロックモードを使う。大人が設定した暗証番号で管理し、承認済みの番組とプレイリストだけを子どもの画面に表示する
(5)他の機器でも聴く。プレイリストを子ども向け音声再生端末「Yoto」に一度の操作で送れる。他のポッドキャストアプリで読み込めるRSS形式の配信情報を書き出したり、MP3ファイルをダウンロードして車内などでオフライン再生したりすることも可能だ


