ポッドキャストを制作するだけでも難しいが、子ども向け番組ではさらに多くの困難が待ち受ける。規制や制限、制作上の要件に対応し、何度も内容を修正しなければならない。子どもは年齢によって興味や理解力が大きく変わり、発達段階だけでなく、規制や収益面の制約も厳しい。6歳児を夢中にさせる内容が4歳児にはまったく響かないこともあり、制作者が狙える年齢層は限られる。
配信ネットワークから特定の教育目標を満たすよう求められ、自由な物語作りを妨げられる場合もある。保護者は番組の内容を厳しく吟味するため、子どもに聴いてもらうには、まず番組を選ぶ大人を納得させなければならない。広告の入れ方にも制限があり、大人向けの番組で使われる収益化の方法をそのまま採用するのは難しい。
子ども向け音声番組を制作するBrains On - Podcastsの共同制作者、共同司会者、上級編集者であるサンデン・トッテンは、広告が最大の壁だと語る。「子ども向け番組すべてについて語ることはできないが、我々のBrains On Universeでは広告が最大の課題だ。ポッドキャストが人気を集め始めた当初から、ずっと続いている問題でもある。企業は子ども向け番組にどう広告を出せばよいのか分かっていない。広告の相手は子どもなのか」。
子ども向けニュース番組『The Ten News』を制作するSmall But Mighty Mediaの創業者兼エグゼクティブプロデューサー、トレーシー・リーズ・カプランも同じ難しさを指摘する。「番組を知ってもらうには、子どもではなく保護者へ宣伝する必要がある。子どもに番組を紹介する価値があると保護者を納得させて、ようやく子どもに聴いてもらえる。しかも、子どもの心をつかむ機会は一度しかない」。
子ども向けポッドキャストには、一般の音声番組とは異なる課題がいくつもある。優れた番組の内容や制作手法に加え、社会の変化が子ども向けメディア全体に与える影響も見ていこう。
米国の3~12歳児の約67%が、毎月ポッドキャストを聴くか見る
UTAはタレントや企業ブランドを扱うエージェンシーだ。同社の調査によると、米国の3~12歳児の約67%が少なくとも月1回、ポッドキャストを聴くか映像付きの番組を視聴している。週1回以上では48%に達する。エジソン・リサーチの調査では、子ども・家族向けポッドキャストの聴取者数が20%増加した。6~12歳の聴取者の68%は保護者と一緒に聴いており、音声番組を楽しむことが家族で共有する体験にもなっている。
エジソン・リサーチと子ども向けポッドキャスト団体Kids Listenによる調査では、6~12歳に人気のジャンルはゲームが51%、音楽が43%、コメディーと短編物語がそれぞれ39%だった。WBUR、National Geographic Kids、PBS Kidsなどのメディアも子ども向け音声作品の知的財産に投資し、人気番組のポッドキャスト化を進めている。
米エンタメ業界誌ハリウッド・リポーターは、新型コロナウイルスの流行後に「子ども向けポッドキャスト事業が急成長した」と題する特集を掲載した。子ども向け音声番組が成長する流れを早くから捉えていた。
年齢による理解力の違いと親の判断が、音声作品の成否を左右
ただし、市場の成長を見込んで参入した制作者の多くは、子どもの年齢に応じた専用の番組作りの難しさに直面した。映像中心のメディアに慣れた世代では、音声だけで注意を引き続けることも容易ではない。
デジタルメディアの専門家、デール・クレンショーは「幼い子どもは皮肉や反語、言葉の裏にある微妙な意味を理解できない。刺激が強くなりすぎず、集中力も途切れないように、物語の進行を細かく調整する必要がある」と指摘する。さらに「『二重の聴取者のわな』もある。子どもが聴く番組でも、採用するかどうかの決定権は通常、保護者にある。リモコンやアプリを操作する保護者の承認を得なければならない」と説明する。
車内や朝食で一緒に聴ける、親子の生活に合った演出
カプランは家族で一緒に聴く場面を想定して番組を作っている。「車の中や朝食の時間に寄り添う番組でありたい。台本、音響効果、音楽を使い、聴く人を『The Ten News』のスタジオへ連れていく。ニュースを伝える場面でも、スタジオにトランポリンが置かれているような突飛な設定を使う。音声だけだからこそ、生放送ではできない、ばかばかしくて楽しい演出も可能になる」。
ケイラ・クレイグはPBS For Kidsへの寄稿で「子どもはポッドキャストを聴いた後によく質問する。例えば『火山が噴火したとき、溶岩はどんなふうに見えるの?』と尋ねる。親子で調べれば、番組が終わった後も学びを続けられる」と書いている。
有名司会者に頼れず、番組を知ってもらうにも時間がかかる
トッテンによると、子ども向け番組には、そもそも見つけてもらいにくいという問題もある。「聴取者を増やすには努力と時間、継続する覚悟が必要だ。大人向けのように有名人の司会者や派手な宣伝で一気に人気を集めるのは難しい。子どもは司会者が有名かどうかをそれほど気にしない。好きな番組を見つけたら深く夢中になり、何時間でも聴ける作品を探すことが多い」。



