重要なのは、スペースXが人々にそれらの可能性を真剣に受け止めるだけの理由も与えてきたことだ。ロケットを打ち上げ、そのロケットは自力で着陸する。スターリンクは何百万人もの顧客を抱えている。政府機関もスペースXのサービスを購入している。10年前には荒唐無稽に聞こえたスペースXの事業が、今では存在し、実際の収益を生み出している。スペースXは長年にわたり、自らの未来についての壮大なストーリーを作り上げてきた。一方で、そのストーリーが現実のものとなり得ることを示唆する十分な証拠を積み重ねてきたのだ。
野心がもっと地上に近い企業にとって、そこには教訓がある。株価を高めることは、「現在(Now)」で勝つことだけではない。「次(Next)」を示し、それが本物であることを証明することなのだ。
「次」を示す
成長やイノベーションへの取り組みがもたらす最大の見返りは、単に今日の売上を生み出すことではない。企業の将来の見通し(フォワード・アウトルック)を改善することにある。それは、ビジネスにはまだ進むべき道があり、なり得る姿があり、現在の損益計算書(P&L)にはまだ現れていない利益の源泉があるのだと人々が信じ始めたときに起こる。
成長プログラムには2つの役割がある。将来の成長がどこから来るのかについての説得力のあるストーリーを生み出すことと、そのストーリーが実際に真実かもしれないという証拠を示すことだ。ほとんどの大企業はストーリーを生み出す能力を十分に備えている。投資家向けのプレゼンテーションは、魅力的な市場、先端技術、新しい成長の源泉で満ち溢れている。経営陣はプラットフォーム、隣接分野、エコシステム、変革の機会について語る。プレゼンスライドの右上には、通常、大きな数字を指す矢印が描かれているものだ。
しかし、最終的にはそれを証明しなければならない。誰かが、会社が実際に何かを実行できることを示さなければならないのだ。新製品が予想外の支持を集め始めるかもしれない。ある実験によって、顧客が誰の予想とも異なる行動をとる意志があることが判明するかもしれない。研究チームがある技術の有効性を証明するかもしれない。小規模な買収によって、会社がこれまで持っていなかった能力が手に入るかもしれない。これらはどれも既成事実である必要はない。初期の証拠は通常まとまりがなく、売上もまだごくわずかかもしれない。うまくいくものを見つけるまでに、チームは方針を3回変更する必要があるかもしれない。それでも「そこに確かな何かがある」と思わせるのに十分な活動を示す必要があるのだ。


