【重要】復旧のご報告セキュリティ対策に伴うメンテナンスおよび会員機能の一時停止について

SMALL GIANTS

2026.10.26 12:30

「カンパニー」の語源はここにあり!属人的かつ合理的なスモール・ジャイアンツの可能性

stock.adobe.com

倫理を共有できるスモール組織

価値観が多様化している現代、ブランディングにも変化が求められている。鍵になるのが、「道徳」と「倫理」の違いだ。ここでいう違いは、何を良いとするかではなく、その規範が誰に向けられるかにある。道徳とは「他者に対してどうあるべきか」を求めるものであり、倫理とは「自分自身がどう振る舞うべきか」を問うものだ。社会が安定し価値観が共有されていれば、「これは良い製品だから選ぶべきだ」という「道徳的」な訴えが通用する。しかし、ステークホルダーが多様化し、共通の価値観がもちづらくなると、道徳的な訴えは押し付けになりやすい。代わりに力をもつのが、自分がどうあるべきかを一貫して示す「倫理」だ。

advertisement

そしてこうした倫理を組織全体で実践しやすいのが、スモール・ジャイアンツだ。その経営は属人的に見えるかもしれない。だが、必ずしも「属人的=悪」ではない。スモール・ジャイアンツは「属人的かつ合理的」なのだ。経営者の意思が隅々まで届く規模の会社は、一貫性を保ちながら環境の変化にも迅速に対応しやすい。染めQテクノロジィの菱木貞夫は、社員を100人より増やさないことを決めているという。自らの倫理が届き、それを実践できる組織規模を肌感覚で見極めているのだろう。さらに属人性は、社会を良くしようとする意思を行動に移すドライバーにもなる。

もちろん、属人的経営が機能する規模は経営者のキャラクターや業種によっても変わる。それでも、スモール・ジャイアンツこそ、不確実性の時代において経営の一貫性と変化への対応力を両立しうる存在ではないか。そして、倫理を共有できる「スモール」な組織であることが、収益のみならず社会的インパクトの面でも「ジャイアント」であることを支えているように見える。

第10回となった今回、インフラにかかわる企業が多かったことも、その社会的インパクトの大きさをうかがわせる。「カンパニー」という言葉の語源をたどると、「共にパンを食べる者」という意味に行き着く。小さな巨人たちは、まさにカンパニーであり続けている。社会課題の解決と収益を両立するこの会社群の価値が、社会を良くしたいと考える若い世代にも、より広く届くことを願っている。

advertisement

本條晴一郎◎東京科学大学環境・社会理工学院准教授。博士(学術)および博士(経営学)。経営現象をサイバネティクスを基盤とする学際的な観点から研究。技術経営専門職学位課程で社会人教育に携わるとともに、未来社会創成研究院DLab+ Challenge「希望の資本主義とその観測所」プロジェクトを運営。

文=中居広起

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事