「あなたはドゥーマリズムを間近で見てこられました」と、私はジョンストンに尋ねた。「そのうえで伺いますが、Starcloudでのあなたの成功は、人々が希望を持つうえで、どんな役に立つと思いますか。行動は、人々が良い面や可能性に目を向ける助けになると思うんです。あなたは理論家にとどまらず、実際に手を動かして形にする人です。そのこと自体が、あなたが役割を果たせることを示していると思います。少し先のことを考えてみましょう。ドゥーマラスになっているかもしれない人たちが、それとは違う未来の可能性に目を向けられるよう、あなたはどう手助けできると思いますか。これは大事なことになると思うんです。私たちが何も手を打たなければ、悲観がそのまま現実を招く、自己成就的な予言にもなりかねませんから」
これに答えてジョンストンは、自らが共同創業者かつCEOとして率いる非営利の計画「Fermi Explorerミッション」について語り、fermiexplorer.orgで動画を見てほしいと勧めた。太陽系に最も近い恒星系アルファ・ケンタウリへ、人類初の恒星間探査機を送り出そうという計画である。動画には「グレートフィルター」という考え方が出てくる。生命が宇宙に広がる文明へと育つまでのどこかにある、ほとんど越えられない関門のことで、フェルミのパラドックスを説明する仮説の1つだ。ジョンストンは、動画の中身をこう説明した。
「この動画は、私たちが銀河へと広がっていき、銀河に住みついた最初の文明になる様子を描いています。言ってみれば、私たちがグレートフィルターをすでに越えていて、しかも宇宙にいる知的文明が実は私たちだけだったら何が起きるのかを、見せるものです。その場合、銀河にはまだ誰も住みついていません。だから、これから銀河に乗り出して住みつく役目を、私たちが担えるのです」
番組の最後に、アレックスはStarcloudの挑戦の独創性をたたえた。AIエージェントの台頭を受けて、SaaS企業の株が軒並み売り込まれた事態は、「SaaSの黙示録」と呼ばれている。アレックスはこの言葉を持ち出して、他の人たちにも、Starcloudのような挑戦に乗り出してほしいと呼びかけた。
「『SaaSの黙示録』という現実を直視して、何か野心的で、冒険心あふれることに乗り出してください」
今回の対話は、テクノロジーの未来像を刺激する極めて示唆に富む内容となった。その背景にあるSF的な発想も、実に引き込まれるものだ。2100年の歴史の教科書には、何と書かれているだろうか。そして何より、私たちが空を見上げたとき、そこには何が見えるのだろうか。はるか昔、約5億年前のカンブリア紀と同じ空なのか。それとも、想像を絶する姿に変わっているのだろうか。


