話が始まってすぐのやり取りには、アレックスがこう尋ねる場面もあった。
「ダイソン・スウォームのために、どの惑星か衛星を最初に解体しましょうか。まずは水星でしょうか。それとも月か、ひょっとすると木星か、土星の衛星のどれかでしょうか。どう思いますか」。
「月は基本的に、ダイソン球やダイソン・スウォームの材料を作るために解体するには、まさにうってつけにできているんです」と、ジョンストンは答えた。一方で、月を解体すれば、地球を取り巻く環境に悪影響が出かねないことも認めた。月にはシリコンやアルミニウムが豊富にある、とも指摘した。とはいえ、大量のレゴリス(月面を覆う砂や岩くず)をどうするのかについては、誰も触れなかった。
ジョンストンは後に、月の一部だけを使う案も持ち出した。
「月の質量の5%くらいなら、なくなっても誰もそれほど文句は言わないでしょう」と、ジョンストンは言った。
水星については、ジョンストンはこう語った。
「水星のいいところの1つは、(太陽に)近いことです。だから、同じ量の電気を生み出すのに、それほど多くの太陽光パネルを必要としません」。
どの天体を「不動産」として使うかに、ある程度めどがついたところで、話は、いつごろ実現するのかに移った。しばらく時間がかかる、というのが一致した見方だった。もっとも、共同司会者のアレックスは、この先の進み具合についてかなり強気である。
科学の話
1時間に及ぶ番組では、他にも多くの話題が出た。軌道上で熱を逃がす放熱板の大きさを決める「シュテファン=ボルツマンの法則」や、宇宙には地球外文明がたくさんあってもおかしくないのに、その痕跡がまったく見つからないという「フェルミのパラドックス」といった科学の話もあった。中国をめぐる話も出た。さらに、「p(doom)」に触れる場面もあった。AIが人類に破滅的な結果をもたらす確率を、各人が主観で見積もった値のことで、恐れや先行きの見えなさ、疑念を数字に置き換えたものと言える。この先何が起きるにせよ、世界がもう元に戻ることはない。21世紀を生きる人間はそれをわかっていて、この数字に頭を悩ませている。
「doom(破滅)」といえば、自慢するつもりはないが、私は新しい言葉を1つ、ひょっとすると2つ作ったのではないかと思う。悲観論者たちがブログ界やその他のメディアで盛んに唱えている、破滅の予言のたぐいを言い表すための言葉である。1つ目は、破滅論を意味する「doomerism(ドゥーマリズム)」、2つ目は、破滅論に傾いていることを表す「doomerous(ドゥーマラス)」だ。どちらも、私がジョンストンに投げかけた質問のなかで使った。


