環境制御型農業は、人工LED照明と気候制御に大きく依存し、それらが1日の大半にわたって稼働するため、膨大なエネルギーを消費する。その結果、二酸化炭素排出量と光熱費の双方が増大し得る。そのため、場合によっては単一障害点(1箇所が壊れるとシステム全体が停止してしまう弱点)が脆弱になる可能性がある。停電、ソフトウェアの不具合、灌漑設備の故障が起きれば、数時間以内に収穫全体が損なわれる。こうした状況では、バックアップ発電機だけでは事業全体の規模に対応しきれない場合もある。
自動化システムの保守や専門スタッフなどの運用コスト(OPEX)も高くなり得る。これらは非常に高額になり得るだけでなく、多くの地域で安定的に確保することも難しい可能性がある。
作物の多様性が限られることも課題だ。多くの環境制御型農業施設では、米、小麦、トウモロコシのような主食となるカロリー作物ではなく、葉物野菜やハーブのような作物を、安定的かつ経済的に栽培できるにとどまる可能性がある。そのため、宇宙農業技術は特定の専門的な解決策として有用ではあるが、従来型農業に取って代わるにはまだ長い道のりがある。
「私は、宇宙農業を食料不安に対する普遍的な答えとして提示するつもりはない。むしろ、食料システムの回復力や強靭性を高めるレイヤー(補強層)として理解する方が適切だ。食料システムの一部を干ばつ、暑さ、供給途絶、土地不足から守ることはできるが、従来型農業の代替ではなく、それと並行して用いる場合に最も効果を発揮する」とカチュマレクは指摘した。
宇宙農業が変化をもたらし得る領域
従来型農業が近いうちに時代遅れになることはないが、環境制御型農業のような宇宙農業技術は、水や土地が乏しく、極端な気候に悩まされる地域で大きな助けとなる可能性がある。地球が資源制約の高まりに直面する中、こうした技術は乾燥地帯、高地、遠隔地でより価値を持つようになるかもしれない。しかし、初期投資の大きさとエネルギー使用量は、広範な普及に対しては大きな課題となる。
「今後10年間における本当の市場機会は、宇宙ではなく、圧倒的に地球上にある。宇宙は実証の場であり、地球こそが商業的規模拡大の機会である。リスクは、これらのシステムを万能薬のように過大に喧伝することだ。これらは強力なツールだが、適切な作物、適切な場所、適切なエネルギーモデルと組み合わさったときにのみ力を発揮する」とカチュマレクは述べた。


