エヌビディアは、次世代AIシステム「Vera Rubin」向けのラックとサーバー用トレーの主要な設計仕様・図面を無償公開した。サーバーや冷却装置、電力設備のメーカーが同じ仕様に基づいて部品を製造できるようにし、AIデータセンターの建設を早める狙いだ。
エヌビディアが機器の設計を開放、半導体は自社製のまま
エヌビディアは米カリフォルニア州サンノゼで開かれたオープン・コンピュート・プロジェクト(OCP)のサミットで、Vera Rubin向けのラックとサーバー用トレーの設計を提供した。OCPは、企業が自由に利用できるハードウェアの設計を公開する業界団体だ。設計の提供には、エヌビディアが開発した機器設計規格「MGX」の更新版が使われた。
サーバーメーカーや冷却・電力設備メーカーは、公開された共通の寸法に基づいて部品を製造できる。ただし、ラック内部に組み込まれる半導体は引き続きエヌビディア製だ。ラックの製造が速く進めば、中身の半導体を販売するエヌビディアが最も大きな恩恵を受ける。
ラックとは、AIシステムに必要なサーバー、サーバー同士をつなぐネットワークスイッチ、電力供給装置を収める鋼鉄製の棚型キャビネットだ。エヌビディアの最新システムでは、数十個の半導体を接続して1台の大型コンピューターとして動かす。半導体単体ではなく、ラック全体が製品となる。
最大250キロワットに対応する「MGX 1.2」、給電と液体冷却も共通設計に
更新された規格「MGX 1.2」は、最大250キロワットの電力を消費するラックに対応する。設計には、冷却用ファンを使わず液体だけで冷やすサーバー用トレーと、定格5000アンペアの液冷式電源レールが含まれる。大電力を必要とするラックへ、どのように電気を供給して冷却するかまで規定した。
公開された設計には、エヌビディアの新型プロセッサー「Vera」を使うラックも含まれる。さらに、数千個の半導体を連携させ、同じAIモデルの処理に参加させるネットワークの設計も対象だ。エヌビディア製半導体を、より多くのデータセンターで早期に稼働させることが全体の狙いとなる。
共通の図面で部品を並行生産し、AIシステムの導入を早める
エヌビディアでAIインフラ製品を統括するジョー・デレアは、「AIデータセンター建設の最大の障害は、機器をどれだけ速く製造し、設置できるかだ」と説明した。
AIラックは、冷却プレート、電源レール、ケーブル、ネットワークスイッチなど、複数の供給会社が作る部品を組み合わせて完成する。IT専門メディアのSDxCentralによると、設計図が公開されれば、装置メーカーや部品メーカーは直ちに製造へ着手できる。
共通の設計図があれば、各部品メーカーは同時に製造へ着手できる。例えば、台湾で冷却プレートを作る企業と米テキサス州で電源レールを作る企業が、同じ日に同じ図面を使って製造を進められる。
Vera Rubinは量産入り、収益化の速度を左右するのは周辺設備
エヌビディアのジェンスン・フアンCEOは2026年6月、Vera Rubinが量産に入ったと発表した。半導体がどれだけ早く収益を生むかは、ラックや冷却装置、それらを収めるデータセンターが整う速度に左右される。
顧客のAIシステム需要が業界の供給能力を超えているなら、建設を速めた企業ほど、ラックに組み込まれる製品を多く販売できる。
エヌビディアは2024年に開かれたOCPのサミットでも、「Blackwell」アーキテクチャーのGPUを搭載するAIシステムのラック設計をOCPに提供した。



