AI

2026.10.16 13:06

グーグル新AI「Gemini 4 Argon」公開、11月末までの限定割引で定着を狙う

Photo by Samuel Boivin/NurPhoto via Getty Images

ロボットが空き缶を捨てる実演で、AIの物理的な判断能力を伝える

AIの性能を表す数値は抽象的だが、ロボットが空き缶を片付ける映像なら記憶に残りやすい。グーグルが訴える「物理推論」とは、現実の物体の動きや位置関係を踏まえ、どのように行動するか判断する能力だ。

advertisement

グーグルの開発者向けブログには、Argonがボストン・ダイナミクスの四足歩行ロボット「Spot」に新しい作業を指示する様子が紹介されている。作業内容は、ダイエットコークの缶を拾い、足踏みペダルでふたが開くごみ箱へ捨てることだ。Argonは実際のごみ箱を操作する前に、物体の動きを再現する物理演算ソフトウェア「MuJoCo」で仮想のごみ箱を作った。そこで3本の脚でバランスを取りながら残る脚でペダルを踏む動作を練習し、実機でもペダルを踏んで缶を捨てた。

別の実演では、Argonが人間の遊ぶ「コーンホール」の動画を見た。コーンホールは、傾けた板に開いた穴へ布袋を投げ入れる競技だ。動画を見た後、アプトロニックの人型ロボット「Apollo」が、7回続けて布袋を穴に投げ入れることに成功した。グーグルは、物理的な状況を理解して判断する力を測る「Embodied Reasoning(ERQA)」の評価試験で、Argonが87%を記録したとも説明する。他の最先端AIモデルよりも高い結果だという。

現実の空間でロボットを動かすAIを、ロボットメーカーや製造業、物流企業に売り込むには、動作を実際に見せる必要がある。日常の片付けをこなす様子なら、ロボット工学の論文を読まない経営者にも能力が伝わる。わずか30秒の実演動画は、ERQAの成績表よりもSNSで広く共有されやすい。

advertisement

Boxの独自試験による評価が、法人顧客への説得力を高める

企業向けソフトウェアを手掛けるBoxのCEO、アーロン・レヴィは、一般公開前の1週間にArgonを自社の評価試験「Box AI Complex Work」にかけたと投稿した。業界別の試験結果を示した上で、Argonの得点はGemini 3.1 Proを14パーセントポイント上回ったと説明している。

具体的な数字を伴う顧客企業のCEOによる評価は、開発元が示す性能試験の結果以上に、企業の最高情報責任者(CIO)の関心を引きやすい。信頼できる顧客にAIを先行提供し、一般公開の日に顧客自身の評価がSNSで広がるようにする手法は、最先端AIの発売で一般的になっている。グーグルも初期利用企業として、無料のセキュリティー支援活動「Scan for Good」でArgonを活用したWizと、創薬研究に活用するイソモーフィック・ラボを挙げている。

次ページ > 攻撃への耐性を数値で示し、安全性を企業の調達判断に結びつける

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事