被害額の見通しは、全国で「1日で数十億円」とする企業も
正確な被害額は判明していないが、影響を受けた一部のスーパーマーケット・チェーンは深刻な財務的打撃に直面していることを示唆した。
先でも挙げたIntermarcheの親会社は、流通グループのLes Mousquetairesで、ティエリー・コティヤールが会長を務める。コティヤールCEOは仏メディアのBFM TVに対し、損失額は「全国で1日だけで合計数千万ユーロ(数十億円)」に達するとの見通しを示した(1000万ユーロは約17億8000万円以上に相当)。
Les MousquetairesはCNBCに対し、損失は「数百万ユーロ」(数億円)に上る可能性があると述べている。また、Cooperative Uのドミニク・シェルシェールCEOは、小規模な店舗で数万ユーロ、大規模な店舗では20万ユーロ(約3570万円)を超える損失が出る可能性があると語った。
標的は少なくとも350店、フランス全土で見ればごく一部にとどまる
ロイター通信によると、今回の攻撃によって少なくとも350店舗が被害を受けたが、これはフランス国内のスーパーマーケット全体から見ればごく一部にとどまるという。Les MousquetairesはCNBCに対して傘下の約180店舗が影響を受けたことを明かし、Cooperative Uは80店舗がハッキングの被害に遭ったとしている。
一部のサイバーセキュリティ専門家は、今回の攻撃によって冷蔵庫のシステムに潜む脆弱性が浮き彫りになったと警鐘を鳴らしている。サイバーセキュリティ企業Clarotyの研究者らは今年8月の報告書で、Danfossの技術に複数のセキュリティ上の脆弱性があると警告していたが、同社がソフトウェアのアップデートでこれらの問題を修正したとも述べていた。
「食料の武器化が現実のものとなった」
英サイバーセキュリティ企業Pen Test Partnersのパートナーであるケン・マンローはロイター通信に対し、今回のハッキングは「基本的なサイバー・ハイジーン(訳注:日常的なセキュリティ管理)」の問題だと指摘し、システムの脆弱性によってハッカーがまるで開いたドアを押すかのように容易に侵入できる状態だったと語った。「対策を誤れば、解凍された食品が悪臭を放つ惨事に見舞われることになる」とマンローは言う。
欧州委員会で農業・食料担当委員を務めるクリストフ・ハンセンはXへの投稿でこのサイバー攻撃を強く非難した。「あらゆるレベルで食料安全保障にいっそうの注意を払う必要がある」と述べ、「食料の武器化が現実のものとなった」と付け加えている。


