2026年は7人が受賞、がん医療や防災など3件の発見を評価
2026年のゴールデン・グース賞は、以下の3つの重要な研究成果により、7人の研究者に授与された。
騒々しい実験装置を静める工夫から、切らないがん治療へ
ミシガン大学の李嘉誠講座教授を務める、医用生体工学研究者のジェン・シュウは2002年、騒々しい実験装置の音を静めようとしていたとき、特定の超音波が発生するパルスが組織を液化させることを発見した。
体外から当てた超音波は、どうやって腫瘍を壊すのか
その後、米国立衛生研究所(NIH)と米国防総省の支援を受けた研究により、ヒストトリプシーが開発された。ヒストトリプシーは、ロボットが体外から超音波を照射し、標的となる腫瘍の内部にマイクロバブルを発生させる治療法だ。
マイクロバブルが膨張して崩壊する際に、腫瘍細胞の構造を破壊し、体が吸収可能な破片へと液化させる。これにより、放射線治療や手術、化学療法を必要とせず、副作用もほとんどない形で腫瘍を破壊できる。
米FDAが2023年に肝臓向けで認可、すでに数千人の患者が治療を受けている
米食品医薬品局(FDA)は2023年10月、肝臓腫瘍に対するヒストトリプシー治療を承認し、すでに数千人の患者が治療を受けている。また、腎臓や前立腺の腫瘍に対する非侵襲的治療に関する臨床試験も進行中だ。ジェンらはその後、この技術の商用化を目的に、ミシガン大学ヒストトリプシー・センターと、民間企業HistoSonics(ヒストソニックス)を設立した。
衛星センサーが捉えたクリスマスシーズンの電飾から、地上の停電状況などのマッピングへ
NASAの科学者ミゲル・O・ロマン、エレノア・C・ストークス、ジュオセン・ワン、バージニア・カルブ、ランジェイ・M・シュレスタらは、地球上のかすかな雲を検出するために使われる衛星センサーが、クリスマスシーズンのイルミネーションも捉えていることを発見した。これがきっかけとなり、地球の夜間照明や人間の活動に関するデータをマッピングする「ブラック・マーブル」が開発された。
ハリケーン被災地で停電箇所を突き止めた
2022年にハリケーン「イアン」が発生したとき、ブラック・マーブルは特定地区の停電を正確に特定し、電力が復旧したタイミングも監視できた。気象センサーとして始まったこのシステムは最終的に、人道支援にも活用されるようになった。
砂の変化や飛び散る水滴などの物理的挙動を分析、インクジェット印刷や穀物サイロの設計などに応用
スタイン・フライラー殊勲教授のシドニー・R・ネイゲルは、シカゴ大学物理学部教授であり、同大学のジェイムズ・フランク研究所およびエンリコ・フェルミ研究所にも所属する。米国立科学財団(NSF)と米エネルギー省の支援を受け、砂の変化や飛び散る水滴などのありふれた現象の物理的挙動を解明することにキャリアをささげてきた。ネイゲルの研究は、インクジェット印刷や穀物サイロの設計などに応用されている。
授賞式は米議会図書館で開催、紹介映像を公式サイトで公開
米国科学振興協会は、ワシントンD.C.の米国議会図書館で開催される授賞式とレセプションを開き、受賞者を讃える予定だ。GoldenGooseAward.orgでは、ドキュメンタリー形式の動画も公開している。


