米国科学振興協会(AAAS)は、2026年のゴールデン・グース賞(第15回)を発表した。この賞は、一見地味で、時に風変わりにさえ思える基礎研究の発見が、最終的に重要な社会的利益をもたらしたことの功績を讃えるものだ。
2026年のゴールデン・グース賞は、以下の3研究に携わった研究者たちに授与された。
・手術なしで腫瘍を破壊できる、非侵襲的ながん治療法ヒストトリプシー(Histotripsy)を生んだ研究
・宇宙から観測されたクリスマス・イルミネーションなどのパターンを活用し、衛星データから停電状況などをマッピング。災害復旧活動の支援にもつながった研究
・こぼれたコーヒーの滴、移動する砂、飛び散る水滴などから物理学の原理を導き出し、インクジェット印刷、工業生産、医療診断への応用につながった研究
ゴールデン・グース賞は、どんな研究を称えているか
ゴールデン・グース賞は、基礎研究の価値を讃える年次表彰だ。当初は些細に見えたものの、最終的に大きな実用的進歩につながった連邦政府資金による研究を表彰している。
この賞の名称は、1970年代に故ウィリアム・プロクスマイア上院議員が考案した「ゴールデン・フリース賞」という皮肉を込めた称号に由来している。同氏は、自身が無駄遣いだと考える連邦支出を嘲笑するため、この賞を提唱した。一見すると重要性がなく、税金の無駄遣いのように見えやすい研究を特定して表彰したのだ。
嘲笑を栄誉に変える構想が生まれ、2012年春に創設
しかし約20年前、テネシー州のジム・クーパー下院議員がゴールデン・グース賞のアイデアを導入し、プロクスマイア議員の嘲笑を栄誉に変えた。クーパー議員は、一見些細な研究が画期的な成果をもたらした例を強調することで、連邦政府が資金提供する研究が利益をもたらすことを認める賞を提唱し、2012年春にゴールデン・グース賞の創設を発表した。
それ以来、命を救う医薬品や治療法、重要な社会的・行動的洞察、国家安全保障、エネルギー、環境、通信、公衆衛生に関わる技術的進歩につながった基礎科学研究に対して、研究者たちが毎年表彰されている。
どこにつながるのか誰にもわからない探究に、国が資金を出し続ける理由
米国科学振興協会の最高経営責任者(CEO)で、サイエンス誌とその姉妹誌の発行責任者でもあるスディップ・S・パリクはニュースリリースで、「米国の科学・経済におけるリーダーシップの一端は、たとえそれがどこにつながるのか誰にもわからなくても、研究者に対して有望なアイデアを追求する自由を与えることから始まる」と述べている。
「今年のゴールデン・グース賞の受賞者たちは、その自由がいかに重要かを示している。最も重要な発見のいくつかは、当初はその価値が全く明らかではなかった疑問から始まったものだ。連邦政府による持続的な投資があるからこそ、科学者たちはそうした疑問を投げ掛け、私たちの健康や安全、競争力を高める予期せぬ発見を追求し続けることができる」。



