先月、筆者がサウサンプトンで最新のクルーズ船に乗船した際、市内には5隻の大型クルーズ船が停泊していた。2週間後、下船のために戻ってきたときも、再び5隻の船が並んでいた。
これは、サウサンプトンが英国のクルーズ業界にとってどれほど重要な存在になったかを端的に示す光景であり、同時に明白な問いを投げかけている。クルーズ需要が伸び続けるなら、英国の他の港はその負担の一部を引き受けられるのか。
サウサンプトンは2025年に300万人を超えるクルーズ旅客を受け入れた。この水準を上回るのは2年連続である。
港湾運営会社のAssociated British Ports(ABP)はまた、クルーズ船の寄港回数が過去最多となり、5つすべてのクルーズターミナルが同時に使用された日数も過去最多を記録したとしている。
とはいえ、サウサンプトンは英国唯一のクルーズ港からはほど遠い。ロンドン・ティルベリー、ドーバー、ポーツマス、リバプール、ニューカッスル、ベルファスト、そしてエディンバラの港湾施設であるロサイスとリースなども、相当規模のクルーズ交通を受け入れている。
課題は、日帰り寄港でクルーズ船を受け入れることと、主要な母港(ホームポート)となることでは、求められる役割がまったく異なる点にある。
サウサンプトンの再現が難しい理由
数千人規模の乗客が関わるターンアラウンド(発着港業務)には、単に船を接岸させる場所以上のものが必要になる。
ターミナルは、数千人規模の乗降客とその荷物をわずか数時間で処理しなければならない。船には食料、燃料、廃棄物処理、その他の補給が必要だ。さらに数千人の乗客のために、駐車場、ホテル、長距離バス、鉄道接続、空港へのアクセスも整備されている必要がある。
サウサンプトンは数十年をかけて、このエコシステムを築いてきた。クルーズ会社もかなり先を見据えて計画を立てる。ABPによれば、バースは最大2年前に割り当てられることもあるという。
そのため、船を別の港へ移すことは、空いているバースを見つけるよりはるかに複雑である。それでも、英国の地方港はほぼすべて成長している。
リバプールが本格的に攻勢
おそらく最も明確な例がリバプールだ。同市のクルーズ港は2026年に過去最多となる118回の入港と、約25万人の旅客を見込んでいる。
同施設を運営するGlobal Ports Holdingは、インフラ改善に最大2500万ポンド(3400万ドル(約53億9000万円))を投じる方針を示している。計画には、大型クルーズ船2隻が同時に接岸できるよう設計された新たな浮体式ドックが含まれ、1日あたりの旅客処理能力を7000人超に引き上げる。
リバプールはまた、サウサンプトンにはないものをクルーズ会社に提供できる。地理的条件である。英国西海岸に位置するため、アイルランド、アイスランド、大西洋方面のクルーズの出発地として理にかなっている。
リバプールはそれ自体も魅力的な目的地であり、出航の1日か2日前に到着する理由となるだけの文化的見どころ、ナイトライフ、海事史を備えている。
これは、母港としてのリバプールにさらなる強みを与える。クルーズは、単に空港から、あるいは国内を横断して船に向かう移動ではなく、都市滞在から始められるのだ。
港ごとに異なるクルーズ市場
ベルファストはさらに大規模な投資を進めている。9000万ポンド(1億2100万ドル(約192億円))を投じた深水クルーズ岸壁が建設中で、2028年にクルーズ船の受け入れを開始する予定だ。世界最大級の船舶にも対応できる。
北アイルランドの同港は、2025年の7本に対し、2026年には13本の発着クルーズを見込んでいる。
他の地域では、拡張の意味合いはサウサンプトンと直接競うことよりも、クルーズ市場の特定分野に対応することにあるのかもしれない。
ポーツマスでは2026年に70回を超えるクルーズ船の寄港が予定されており、SagaやVikingの船を含む小型・中型クルーズで独自の市場を築いてきた。
ドーバーはすでに、それ自体が重要な発着港である。2026年には115回のクルーズ船寄港と約20万人のクルーズ客を見込んでおり、CarnivalやHolland Americaなどが同地で発着クルーズを運航している。
一方、ニューカッスルは20年にわたりFred Olsen Cruise Linesと連携してきた。2006年以降、18万人を超える乗客が同港から乗船しており、特にノルウェー、スカンジナビア、バルト海方面の旅程で利用されている。
同港の国際旅客ターミナルは、クルーズの折り返し運航で約2000人に対応できる。これは別の現実も浮き彫りにする。従来型の小型クルーズ船に適したインフラが、今日の超大型船には必ずしも適さないということだ。
英国のクルーズ市場はなお成長中
地方港が市場でより大きな取り分を望むのには十分な理由がある。2024年に英国の港からクルーズに乗船した旅客は160万人を超え、約10%増となり、過去最高を更新した。
サウサンプトンが近いうちに支配的な地位を失う可能性は低い。インフラ、交通接続、確立されたクルーズ業界のネットワークは、なお容易には匹敵できない。
しかし、リバプールとベルファストは大規模な投資を進めており、ドーバー、ポーツマス、ニューカッスルは代替地への需要があることを示している。
したがって英国のクルーズの未来は、サウサンプトンの「代わり」を見つけることよりも、多様な客船や巡航ルートに対応できる地方港のネットワークを築くことにあるのかもしれない。
FORBESの関連記事
FORBES | By David Nikel
英国のこのクルーズ会社、欧州拡大へ異例の計画
FORBES | By David Nikel
英国のクルーズ会社は2026年にどう変わるのか



