デンマーク国防情報局(DDIS)がまとめた今後のロシアの代替戦争戦略に関する興味深い予測では、「ロシアは欧州が自律的な軍事能力を徐々に発展させ、2030年までにロシアに対する脅威が増大すると考えている」と警告。「したがって、ロシアにとって(2030年までの)今後数年間は好機となる。その間にプーチン大統領は、欧州の安全保障秩序を抜本的に変えようとする試みにリスクに見合う価値があると結論付ける可能性がある」と述べている。
DDISの情報将校らは「ロシアが国境を接しているNATO加盟国に対して、限定的な軍事攻撃を仕掛けるリスクが高まっている」「限定的な軍事攻撃は今後数カ月以内に行われる可能性がある」とみている。
また、ボリス・ジョンソンがポーランドとウクライナの国境付近でロシア製ドローンの攻撃を免れた同日に、デンマーク南部のバルト海に面した港湾都市ゲッサー沖で「ロシアのフリゲート艦がデンマーク軍のヘリコプターに向けて照明弾を発射した」と報告。バルト海では「NATO軍部隊に対するロシア軍の行動がますます攻撃的になっている」としている。
欧州有数の情報機関であるDDISの分析官らは、ロシアが1カ国以上のNATO加盟国に対して軍事作戦を展開する3つのシナリオを提示した。「ロシアの通常戦力が増強を続ける一方、西側諸国は匹敵するペースで軍事力を強化できていない」と仮定した軍事シミュレーションでは、以下の予測が示されている。
・約半年以内に、ロシアは自国と国境を接する国で局地戦争を遂行できるようになる
・約2年以内に、ロシアは1カ国または数カ国のNATO加盟国に現実的な脅威をもたらし、バルト海地域の複数の国々を相手にした地域戦争の準備を整える
・約5年以内に、ロシアは欧州大陸での大規模戦争の準備を整える
軍事に詳しいグロスフェルドは、ロシアが2014年にウクライナのクリミア半島を占領したのと同様の手口で、まず私服部隊を送り込み、かつてソ連に強制併合された国々のいずれかに侵攻する可能性に同意する。また、プーチンが欧州大陸規模の戦争を目的に軍備増強を加速させるという予測も支持し、その上で、この軍拡競争がどのような流れで進行するかはまだ不透明だと付け加えた。
KGBで訓練を受け、戦略的欺瞞と心理戦に長けたプーチンは、NATO加盟国への早期かつ限定的な侵攻の土台を築くためロシア領土内に「偽旗攻撃」を仕掛け、ロシアが「侵略者」に反撃するのは正当だと主張する可能性があるとグロスフェルドは予測。この戦略は、歴史が繰り返される興味深い事例になるだろうと述べる。


