プーチンは西側諸国との核対決を挑発する言葉を連発した演説の中で、核兵器をめぐるエスカレーション(緊張の高まり・対立の激化)について「それは瀬戸際へ向かう道だ。世界の主要国が、あらゆる生命を破壊するか、少なくとも地球を壊滅的な状態に追い込める兵器を保有している今日においては特にそうだ」と述べた。
旧ソ連と同じく、ロシアは戦略・戦術核兵器の世界最大の保有国だ。かつて共産圏の頂点に君臨した社会主義共和国連邦が築いた超大国の地位の最後の名残である。
プーチンは続けて「こうした兵器が絶対に使われないと保証できるだろうか? もちろんできない」とし、その上で「確かに、フランスや英国も核保有国だ。われわれはそのことを十分に理解し、しっかり認識している。だが、ロシアが現在保有するような攻撃能力を有している国は他にない。これこそがわれわれの競争上の優位性だ」と語った。
さらにプーチンは、ロシア外務省が核兵器を含むあらゆる戦力を行使する用意があると明確に警告する書簡をNATOに送ったことについて「欧州諸国は今後、この機を逃さず、ロシアが核兵器で自分たちを脅しているという論点を利用するだろう」と主張した。
クレムリンの指導部から全面的な核戦争を予測する発言が相次いで飛び出す中、ロシアはウクライナへのドローン攻撃を激化させ、西側の要人が通過するルートや地域を標的にしている。9月中旬にはボリス・ジョンソン元英首相の乗った列車が通過したばかりの鉄道路線を2機の自爆型ドローンで攻撃した。これは暗殺未遂だった可能性がある。
また、今月初めには外国要人にキーウを離れなければ命の危機に見舞われると警告。翌日、フリードリヒ・メルツ独首相がボロディミル・ゼレンスキー大統領と会談するためウクライナ首都を訪問した際、ドローンの大編隊でキーウを爆撃した。
仏紙ル・モンドによれば、このときメルツはロシアの空爆で壊滅的な被害を受けたばかりのウクライナ国立学士院をゼレンスキーの案内で視察中だった。メルツはクレムリンの戦争機構や、学生・科学者らが殺害されていることを激しく非難。「ウクライナの民間人に対するこのような野蛮な攻撃は止めなければならない。これらは戦争犯罪であり、その犯罪行為は毎日この地で繰り返されている」と述べた。
ロシアが差し迫った核衝突の脅威を煽るのは、一部の学者が「認知戦」と呼ぶ活動の一環であり、バルト三国などの旧ソ連諸国への小規模で電撃的な侵攻に先立ってNATO加盟国の首脳らを恐怖に陥れることが目的の可能性があるとグロスフェルドは指摘する。


