スーザン・ウォジスキは、グーグルが16番目に採用した社員だった。マリッサ・メイヤーはその数人後に入社した。しかし、グーグルの華やかな女性の顔となったのは、現ヤフーCEOのメイヤーの方だった。だが、それは重要ではない。グーグルの全広告製品を担当する上級副社長のウォジスキは、「アンチ・マリッサ」を貫いている。彼女はオフィスでジーンズとパーカーを好み、ある元社員が映画『チャンス』のである庭師のチャンスを彷彿とさせると語るほど、控えめで飾らない態度を見せる。「彼女はその部屋の中で自分がいちばん賢い人間である必要などないと、いつも考えていました」と別の元同僚は話す。
その代わりに、彼女は広告業界において、男女の区別なく最も強力な実力者となった。余計な騒ぎを起こすことなく、的確に実務をこなす。そのため、他サイトにグーグル広告の掲載料を支払う「アドセンス」(現在では130億ドルの事業規模)の導入や、広告配信の草分けであるダブルクリックの買収、そしてYouTubeの買収といった数々の勝利において、彼女はペイジが最も頼りにする幹部となってきた。「彼女が取り組むのは大きな課題だけで、小さな課題には手を出しません」と、10年前に彼女の下で働いたシェアディスCEOのカート・エイブラハムソンは述べる。
広告の未来、ひいてはグーグルの未来に対する彼女のビジョンとは何だろうか。コンテンツが多種多様なデジタル機器を縦横無尽に行き交っている現状がある。グーグルは、テレビにオンライン動画をストリーミング配信する機器「クロームキャスト」や、怒涛の勢いで展開するAndroid搭載のスマートフォンやタブレットを通じて、この流れを加速させようとしている。こうした背景から、彼女はほぼすべての広告が最終的にはデジタル化すると見込んでいる。そうなれば、まさにグーグルの独壇場となる。
「広告主はユーザーが行く場所へ向かわざるを得ません」とウォジスキは語る。彼女は米カリフォルニア州マウンテンビューの本社(グーグルプレックス)のオフィスの外に座り、メープルシロップと少量のカイエンペッパーを入れた「デトックス」レモネードを口に含んだ。「巨額の資金がそこへ追随することになります」。
あらゆる端末をつなぐ「広告用OS」の構想
ウォジスキは、検索広告、ディスプレイ広告、YouTube、ブランドコンテンツを結びつけ、パソコン、スマートフォン、タブレット、コネクテッドTV、そして将来はグーグル・グラスに至るまで、すべての端末を横断するキャンペーンとして一括提供できる広告用オペレーティングシステム(OS)を描いている。一部のマーケティング担当者は、すでにその方向へと素早く舵を切っている。たとえばアディダスは、最近発売したスニーカー「D Rose 4」の展開にあたり、YouTubeと約200万のサイトが加盟する「グーグル・ディスプレイ・ネットワーク」で広告を配信した。さらに、セカンドスクリーン体験を提供するモバイル広告でそれを補強し、即座に購入したい層を捉えるために検索広告を活用した。
以前からウォジスキは、ユーザーが製品について知りたがっている瞬間、あるいは購入の準備が整ったまさにその瞬間に目にする「完璧な広告」について語ってきた。現在の検索広告は、直接販売におけるその理想に近づきつつある。しかし彼女が思い描くのは、個人の嗜好や行動データで補強され、ブランドや製品への好意の種を同様に見事に植え付けることができるイメージ広告である。
人々はオンラインで能動的に活動しているときよりも、ソファにもたれてテレビを眺めているときの方がメッセージを受け入れやすい、というのが広告業界の通念である。だがウォジスキは、実際にはその正反対の可能性を秘めていると主張する。「ユーザーが何かに没頭しているとき、彼らはそれを能動的に選んで見ています」と彼女は語る。グーグルはその明確な選択を利用し、さらに適合性の高い広告を届けることができるのだ。


