この状況が、冒頭の「大人の隠れ家」の存在理由を説明している。YouTubeは、インターネット時代における最も素晴らしい買収案件の1つであり続けている。ラリーとセルゲイは2006年に16億5000万ドルを支払った。その事業は、今日単体企業として試算しても控えめに見積もって200億ドルの価値をもつ。そうであれば、ブランド広告事業を構築するために、さらに4億ドルほどを投じることなど造作もないことだ。投資回収は極めて迅速だった。
10月、コカ・コーラやホンダなどの大手広告主を抱えるピュブリシス傘下のメディアヴェストは、今後1年間でグーグルの動画、ディスプレイ、モバイル広告に数千万ドルを投じる契約を締結した。広告代理店やマーケティング担当者がテレビでおこなうように、事前に広告枠を買い付ける契約をグーグルがオンラインパートナーと結んだのは、これが初めてだった。11月には、同じくピュブリシス傘下のディジタスLBiとレイザーフィッシュがさらに規模を拡大させた。両社は今年、YouTubeならびにグーグルのバナーおよびモバイル広告ネットワークに1億ドルを投じる約束を交わした。「グーグルは、これほどの資金を引きつけるに足る、巨大で幅広いプラットフォームをもつ数少ないプレイヤーの1社です」とレイザーフィッシュCEOのピート・スタインは述べる。
グーグルの内部関係者は、こうした「アップフロント(事前枠買い取り)」取引が間もなくさらに発表されると断言している。この動きを受けて、株価を最近の過去最高値である1150ドル超へと押し上げた投資家たちは強気の姿勢を強めている。グーグルの出資者である資産運用会社ソラリス・グループの最高投資責任者(CIO)、ティム・グリスキーは、グーグルが2020年までにテレビ広告費の約6%(年間200億ドル)を獲得できると試算している。今年のグーグルの総売上高が約600億ドルに達する見込みであることを踏まえると、これは同社が優位性を維持するために不可欠な成長である。


