ナタリア・カウリーは、明らかに一筋縄ではいかない人物である。彼女は著書『Inflector』の序文で、自らをこう表現している。「共産主義下のブルガリアに生まれ、ジンバブエの混乱の中で鍛えられ、バミューダのヘッジファンドで研ぎ澄まされた」。こうした経験のすべてを生かし、彼女はオーストラリアの地方自治体を変革する人物として確固たる評価を築いてきた。西側諸国全般がそうであるように、オーストラリアの地方自治体もまた、財政をはじめとするさまざまな課題に頻繁に直面している。
会計士としての訓練を受けたカウリーだが、地方政府の財務に対する従来のやり方に捉われないという確固たる意志を持っている。彼女の考えでは、崩壊の危機に瀕している組織であっても、適切なリーダーシップがあれば再建が可能だという。自身が提供しているのは「好感度の最適化や意識合わせのワークショップ、あるいは漸進主義(インクリメンタリズム)のためのプレイブック」ではないと強調した上で、彼女は現在の状況においてリーダーが目指すべきなのは「従来のリーダーシップを超えた領域、すなわち単なる調整にとどまらず、組織の価値、能力、影響力をスケールさせることに注力する段階」だと主張する。
これが、出版されたばかりの著書タイトルにある「インフレクター(Inflector=転換をもたらす者)」につながる。カウリーの定義によれば、インフレクターとは組織のアウトプットを引き上げ、従来の限界を大幅に超える価値や成果をもたらす人物のことだ。これは途方もないことに思えるかもしれないが、変曲(インフレクション)を生み出すことは運やカリスマ性、才能の産物ではなく、したがってテック企業の創業者や大富豪、異才だけに限定されるものではないと彼女は指摘する。一連の「インフレクション・レバー(変化を生み出すテコ)」を適用することで、より多くの人々が単なる指導から構造的転換へ、そして漸進的な改善から持続的な前進へと移行できるという。
とはいえ、その移行が容易だというわけではない。カウリーは、インフレクターを目指す者が組織を次のレベルへと引き上げる領域に到達するためにマスターすべき詳細な手法を、巧みな比喩や暗記法を交えて示している。
そのひとつが「Acca Dacca(アッカ・ダッカ)」という概念だ。これは、派手なステージパフォーマンスで愛されるオーストラリアのロックバンド「AC/DC」に由来するもので、カウリーは単に大胆であることがいかに成功に不可欠であるかを説明するためにこの言葉を用いている。確立された見解やアプローチに挑んだ自身の体験が豊富に描かれている本書の中でも、この概念について詳述したセクションはとりわけ強烈だ。話の中心は、2022年7月にニューサウスウェールズ州沿岸の都市コフスハーバーで女性初の最高経営責任者(CEO)に就任した際のエピソードである。当時彼女は、総工費8200万豪ドルと見込まれ、地域社会を二分していたシビックセンターの建設事業に対応しなければならなかった。市は直近で950万豪ドルの赤字を出したばかりで、今後6年間でさらに1700万豪ドルの損失が予想されていた。さらに、パンデミックによるサプライチェーンへの影響が続き、建設費が高騰、市の職員は疲弊し切っていた。
簡単な打開策はなかった。カウリーが引き継いだ事業は契約上進めることが確定していたが、地域住民の多くは、最終的な費用が見積もりの数倍に上り、最悪の場合、市を破産させるのではないかと恐れていた。しかし、カウリーは単に耐え忍んだだけではなかった。彼女が記すように、プロジェクトの中止という選択肢はなかった。中止しても市が救われるわけではなく、かえって骨抜きにしてしまうからだ。代わりに彼女とチームは、これまでへき地とみなされがちだった市のブランドを刷新する試みとして、この計画を再定義した。鮮やかな色と大きさから地元で「グリーン・モンスター」と呼ばれていた建物は、先住民族ガンバインギルの言葉で「照らす」を意味する「ヤリラ・プレイス(Yarrila Place)」と改称された。さらにカウリーのチームは、この建物が地方都市であっても文化を持ち、大きな志を抱く準備ができていることを示す象徴であると訴えた。
しかし彼女は、プロジェクトを完成させるだけでは不十分だとも理解していた。外部からの承認が必要だったのだ。そこで、アンソニー・アルバニージー首相が訪問すると聞くと、彼女はその構想を売り込み、首相が建物を開館することへの同意を取りつけた。結果として、2023年9月に開館したヤリラ・プレイスは予算内に収まったと彼女は述べており、その後、さまざまな賞を受賞した。
「アッカ・ダッカのインフレクションとは、恐れを知らないということではない」と彼女は記す。「確信が得られる前に行動することであり、躊躇が静かに失敗を定着させてしまう局面で行動を起こすことだ。自重することがリスクとなり、沈黙が降伏を意味するとき、インフレクターが手を伸ばすものなのだ」
本書は、この事例や他の再建がどのように成し遂げられたかの詳細に踏み込んでいるわけではない。それでも、決意と大胆な思考がいかに驚くべき成果をもたらし得るかを示すものとして、世界各地で苦境に立つ多くの地方自治体やその他の政府に教訓を与え得るだろう。ただし、こうした仕事が臆病な人に向かないことは明らかである。



