サウジ軍は軍事費約13兆1140億円でも、フーシ派の攻撃を止められない
サウジアラビアは通常の軍事力でフーシ派を圧倒できるはずだが、実際には攻撃の抑止に苦戦している。2025年の軍事費は約830億ドル(約13兆1140億円)で、国内総生産(GDP)の6.5%に相当し、世界8位の規模だった。サウジ軍はF-15戦闘機やユーロファイター・タイフーンなどの大型兵器を導入し、パトリオットやTHAADといったミサイル防衛システムも配備している。米国政府はさらに、F-35ステルス戦闘機48機の売却案を承認した。
フーシ派の軍事費は不明だが、税金と関税による収入は計25億ドル(約3950億円)、違法な石油販売による収入はさらに20億ドル(約3160億円)に上る。国家ではない武装組織としては巨額の収入を得ているものの、サウジアラビアとの資金力の差は依然として大きい。
フーシ派は、従来型の兵器で攻撃を思いとどまらせようとするサウジ軍の対応にもほとんど動じず、サウジアラビアに巨額の負担を強いている。その戦い方は、軍事力で勝る相手の弱点を狙う非対称戦であり、戦闘に勝たなくても、サウジアラビアの負担を長期的に増やすだけで目的を果たせる。
サウジ軍は王室防衛のため組織が分かれ、情報共有と部隊間連携に弱点を抱える
サウジアラビアは軍の構造的な弱点の改善よりも、高価で目立つ兵器の購入を優先してきた。サウジ軍は王室を守り、クーデターを防ぐ目的でも編成されており、正規軍とは別組織の国家警備隊や王室警護隊が置かれている。軍事力を複数の組織に分散させれば、単独の部隊が王室の権力を脅かす危険は減るが、部隊間の対立を招き、情報や作戦計画の共有が滞る。実際、連携の不足からサウジアラビア側はフーシ派戦闘員10万人の集結を察知できなかった。
サウジ軍の現役兵は約25万人だが、フーシ派は約35万人の戦闘員を抱えており、実戦経験の面でもサウジ軍はフーシ派に劣っている。


